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中国の家計資産、92万元と33万元はどちらが正しいか

2015年12月14日

ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 矢作 大祐

西南財経大学の中国家庭金融・研究センターが韓国-四川省西部フォーラムで発表した中国の家計金融資産報告がインターネット上で話題になっている(※1)。同センターは2011年より隔年で家計資産の全国調査を行っており、本年も全国約40,000世帯の家計を対象とした調査を実施し、その結果が11月末に公表されたのである。

報道によれば、2015年の中国の家計資産(金融資産・不動産を含む、世帯ベース、以下同)は92万元(日本円換算:1,769万円、為替レート:0.051995人民元/日本円(11月末時点))であり、前回調査(2013年実施)比で20.2%増となった(※2)。しかし、この92万元という結果に対して、インターネット上では「また足を引っ張ってしまった(私の資産は92万元もない、平均値を引き下げてしまった)」と自嘲を含めながら、その正確性について疑問を投げかける声が発せられている。むしろ、中国の人々の共感を呼んだのは、家計資産の中央値の33万元(日本円換算:635万円、為替レートは同上)である。同センターの家計金融研究部主席研究員の李鳳博士も、実際に92万元という平均値は全国の家計資産の中位を代表しているわけではなく、92万元よりも資産が少ない家計が全国の下位に属しているわけではない、と述べている。

では、平均値92万元は中国の家計資産を考える上で、参考にはならないだろうか。広大な中国において、平均値に対する懐疑的な声が多いことは理解できる。例えば、今回の調査結果に際し、「馬雲(ジャック・マー、アリババグループ創始者)の資産(1,500億元)と、私の家の資産の平均値は750億元だ」というインターネット上の発言は、その代表例と言える。

しかし、筆者はこの平均値が重要な意味を有していると考えている。具体的には、中国国内の格差を測るための指標としての役割だろう。中国の平均値と中間値のかい離は約2.8倍である。例えば、日本の家計資産(二人以上世帯、平成21年全国消費実態調査)の平均値は3,588万円、中央値は2,284万円となっており、かい離は約1.6倍であることを踏まえれば、中国国内の格差が依然として大きいということがわかる(※3)

もう一つは、中国人富裕層の実態を把握するための指標としての役割である。米国、英国、日本、オーストラリアといった先進国では、中国人投資家が不動産投資を盛んに行っており、中国人富裕層のマネーが注目されている。中国人訪日客の「爆買い」に沸く日本にとっても、92万元は納得できる数値ではなかろうか。

さて、表題の「中国の家計資産、92万元と33万元はどちらが正しいか」という問いに答えたい。答えは、どちらも中国家計資産の実情を明確に示している、ということである。

(※1)http://www.nbd.com.cn/articles/2015-12-03/967288.html?url_type=39&object_type=webpage&pos=1(2015年12月4日アクセス)
(※2)今回の報道では、家計資産の定義については詳述されておらず、純資産(金融資産-負債)ベースか、総資産ベース(負債は考慮せず)かは不明。
(※3)http://www.stat.go.jp/data/zensho/2009/shisan/yoyaku.htm(2015年12月4日アクセス)なお、家計資産は金融資産・不動産を含む。うち、金融資産は貯蓄現在高から負債現在高を差し引いた純資産ベース。

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矢作 大祐

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