寄付文化
2015年11月25日
年末が近づき、ニューヨークでは寄付を募る鐘を鳴らす人々が増えてきた。日本でも見かけるが、お金だけではなく、衣類やおもちゃなどの寄付を求める。大型小売店の入り口で必要とする品のリストが配られ、出口で寄付を求めているのを見かけた時は驚いた。ロックフェラー大学、カーネギー・ホールなど、石油王や鉄鋼王の異名をとった大富豪の名を冠した様々な建物などがあって、寄付文化の根付き方は、日米の違いの一つだろう。
ギビングUSA財団(Giving USA Foundation)とインディアナ大学が共同で発表している、米国の「寄付白書(Giving USA 2015 Report)」の要点によると、2014年の米国での寄付総額は推計で3,583.8億ドル(約43兆円)であった。経済動向によって金額は増減するが、GDPの2%程度の規模である。2014年は景気回復を受けて、前年から7.1%増え、インフレ調整後の実質ベースでは5.4%増加している。このうち個人の寄付が72%を占め、遺産からの寄付を含めると80%になる。財団からの寄付が15%、企業の寄付が5%で、個人からの寄付が圧倒的であることが分かる。寄付する側は、納税時に寄付が控除の対象になることも寄付の一因とされ、寄付を求める側は「控除に必要な証明書の発行」を謳う。
寄付を受ける側で最も多いのは宗教関連で、歴史的なキリスト教の寄付文化が背景にあるのだろう。寄付しなければならないという焦燥感に駆られる人もいるらしい。ところが、寄付を受ける側の宗教関連が占める比率は低下傾向で、1970年代、80年代は寄付先の4割から5割が宗教関連を占めていたが、近年は3割近くまで低下している。
実際、英語で「セント(St.)」、日本語だと「聖」から始まる、キリスト教的な名前の病院が破綻している。背景として、信仰心の低下で寄付が集まりにくくなっていることや、医療費の高騰などで慈善的な病院経営が難しくなっていることなどが指摘される。寄付を通じた所得や富の再分配は、従来の構造とは変わっている可能性がある。ただし、宗教に関する知識の不足と、州によって産業、人種、宗教などの構成があまりにまちまちであることで、違いは十分に分からない。
再分配政策は2016年の大統領選の論点の一つになる可能性がある。信仰も候補者の特徴として挙げられるが、従来とは異なる文化や習慣を踏まえて、選挙戦を眺める必要があるのかもしれない。
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