自治体"観光予算"と観光地域づくり
2015年09月07日
地域づくりにおける観光への関心が高まるなかで、観光に関する予算を大幅に増加させる自治体がみられる。観光庁が公表している都道府県観光予算額(※1)を2013年度と2015年度で比較すると、東京都、岡山県が約3.5倍、佐賀県が約3.4倍と3倍を超えるほか、栃木県が約2.7倍、福井県が約2.1倍となっている(※2)。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催予定地である東京都及び周辺地域以外でも軒並み増加しており、この間に29の都府県で観光予算額が増加している。

観光のもたらす地域経済への影響の大きさ故に、長期的な視点から観光を将来的な産業の柱として期待する地域もあろう。こうした動きへの自治体による積極的な支援は妥当と考えられる。観光を推進する上で、例えば交通インフラがどうしてもボトルネックとなるというのであれば、当該整備にかかる費用はまさに“投資的”経費であり、歳出目的としてふさわしい支出とみることができる。
他方で、観光推進のためとはいえ自治体による財政支援には慎重でなければならないのも事実である。地方財政健全化の問題もあるが、観光地域づくりの前提として、継続的な財政支援を必須とするようなケースであれば、その地域づくりは、到底、持続的であるとはいえないためである。
これからの観光の受け手側の主役は、“観光”の名のもとに集まった意識の高い地域住民である。その地域住民からなる組織体が自由な発想のもとに機動的に観光を推進していくためには、行政からの資金支援は両刃の剣となる。観光立国や地域創生が推進されるなかで、観光関連予算は通りやすいということもあろうが、持続的な地域社会の形成という観点からの観光地域づくりを目指すのであれば、自治体からの直接的な資金支援は最小限にとどめるという方向が望ましいのではなかろうか。
(※1)http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/yosan.html
(※2)当初予算ベースであるが、当初予算が骨格予算であった佐賀県、福井県は肉付け後の予算額。
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