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地銀再編とダブルギアリング規制

2015年05月20日

金融調査部 主任研究員 鈴木 利光

昨年より、地方銀行の経営統合(地銀再編)が盛んに報じられている。

地銀再編の形態としては、複数の地方銀行が共同で持ち株会社を設立するというものが多いようである。

このような形態の地銀再編では、地方銀行が自己株式を保有している場合や、統合相手の株式を保有している場合、株式移転により、傘下の地方銀行が新設された持ち株会社の普通株式を保有することになる。

この場合、地方銀行は、子会社による親会社株式の取得を禁止する会社法の定めにより、親会社である持ち株会社の普通株式を「相当の時期」に処分しなければならない(※1)

もっとも、会社法は、「相当の時期」がどの時点を指すのかを明確にしていないため、レアケースとは思われるが、場合によっては地方銀行が期をまたいで持ち株会社の普通株式を保有し続けることも考えられる。

このようなケースでは、地方銀行の自己資本比率を算出するうえで、持ち株会社の普通株式保有をどのように扱うべきであろうか。

自己資本比率規制上、株式移転による持ち株会社の普通株式保有は、地方銀行からみて連結外金融機関向け出資にあたり、その出資相当額を自己資本控除の対象とする「ダブルギアリング規制」の適用の有無が問題となる。

具体的な対応について、地方銀行が海外に営業拠点を有する「国際統一基準行」である場合と、それ以外の「国内基準行」である場合とに分けて考える。

地方銀行が国際統一基準行である場合、地方銀行の自己資本比率規制上、保有する持ち株会社の普通株式のうち、自行の普通株式等Tier 1資本の10%を超える部分につき、普通株式等Tier 1資本から控除しなければならない(ダブルギアリング規制)。

地方銀行が国内基準行である場合、地方銀行の自己資本比率規制上、保有する持ち株会社の普通株式のうち、自行の自己資本(コア資本)の10%を超える部分につき、自己資本(コア資本)から控除しなければならない(ダブルギアリング規制)。

持ち株会社の普通株式保有のうち、ダブルギアリング規制の対象とならない部分については、自己資本控除は不要であるが、リスク・ウェイト100%(持ち株会社の普通株式保有がもたらす議決権が10%以下の場合)又は250%(持ち株会社の普通株式保有がもたらす議決権が10%超の場合)を乗じてリスク・アセットに算入する。この取り扱いについては、国際統一基準行と国内基準行との間に相違はない。

結論として、株式移転により保有することとなった持ち株会社の普通株式を処分することにより、地方銀行の自己資本比率は改善するということができる。

(※1)会社法第135条第3項参照

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金融調査部
主任研究員 鈴木 利光