働き続けられる社会
2015年05月15日
筆者が就職し、父親が60歳で長く勤めた会社の定年を迎えたのは同じ年で1980年だった。父はすぐに中小の建設会社の経理事務の仕事につき、70歳まで働いた。若いころ経理畑の仕事をしていたことと社会保険労務士の資格を持っていたことで再就職ができたらしい。再就職は当然のこととして就職活動をしていたと記憶している。
1980年当時、60代の男性の就業率(総務省「労働力調査」)を見ると、60~64歳で74.2%、65~69歳で58.4%であった。当時は多くの企業の定年が55歳から60歳に延長された時期だったが、実際には70歳くらいまで働くのは普通であったようだ。その後、65~69歳男性の就業率は低下し、2004年には43.8%となった後、2014年には50.5%に回復してきている。70歳以上男性で見ると1980年で28.0%だったのが、2010年に19.3%まで低下、その後2014年には19.9%に若干上昇という姿だ。
女性の就業率(同)について見てみると、60~64歳では38.4%(1980年)が47.6%(2014年)へ上昇、65~69歳では25.8%(1980年)が30.5%(2014年)へと上昇している。もともとは低かったものの男性とは逆にずっと上昇傾向を辿ってきた。
日本全体の就業者人口は2007年の6,427万人をピークに減少しており、景気に左右される面はあるものの少子化の影響で趨勢的には減少が続くだろうと予想される。それでも高齢者の就業率が上昇することは経済には大きなプラスになるだろう。年金支給開始年齢の影響もあるだろうが、近年就業率が上昇してきているのは心強い。
1980年当時の平均寿命(厚生労働省)は男性73歳、女性79歳だったが、2013年では男性80歳、女性87歳にまで延びている。個人差は大きいと思われるが、全体的には1980年頃の60代、70代より現在の60代、70代の方が若々しいのではないだろうか?特に男性の場合は、過去の方が就業率は高かったわけで、基本的には就業能力はあるはずで就業率が過去水準に回帰する可能性は十分にある。女性活躍の機運で60代、70代の女性の就業率も男性と同様の水準に高まる可能性も否定できない。
まだまだ職業人として現役でいたいという人々に働く機会を提供していくことは日本の重要な政策課題であるとともに、大きなビジネスチャンスであるかもしれない。働き方は多様であってよく、課題は高齢者が働きやすい働き方とニーズとをマッチングさせていくことだろう。これには、フレキシブルな労働形態の適用ばかりでなく、それを可能にするITの活用にもチャンスがあるのではないだろうか。
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