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認可?認可外?わが子に合った保育所を選びたい

2015年01月19日

政策調査部 研究員 石橋 未来

認可保育所の受け皿拡大で膨らむ待機児童解消への期待

春からの職場復帰・再就職を計画する母親たちの保育所探しは佳境を迎えている。年度の切り替え時期は、保育所の入所枠が確保できる可能性が最も高まる時期であり、「入所承諾通知書」を心待ちにしている家庭も多いだろう。

しかし、実際の入所はそう容易とは言えない。待機児童数(※1)は21,371人(2014年4月1日時点、厚生労働省調べ)に上るが、潜在的(※2)には80万人(※3)とも推計されており、仕事と育児の両立を目指す女性の保育所探しは困難を極めている。

安倍政権が重要課題として掲げる子育て支援と女性の活躍推進では、待機児童問題を解消することで、出産・育児を機に女性が労働市場を退出してしまう現象を示すM字カーブの改善を目指すという。具体的な待機児童解消策として、2015年度から実施される「子ども・子育て支援法」に基づく新制度では、これまで国の財政支援の対象となっていなかった小規模保育や家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育などを新たに認可の対象とするほか、認定こども園の普及などが計画されている。認可(認定)対象の保育所を探す家庭にとっては、受け皿が増える朗報と映るかもしれない。

認可保育所と認可外保育所の違い

この認可保育所とは、児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)をクリアして都道府県知事に認可された施設のことである。こうした認可保育所にばかり入所希望が集中してしまう理由には、もちろん国が定めた基準をクリアしている点や、経営母体が自治体や社会福祉法人であることなどが利用者の安心感につながっている点もあるだろうが、それ以上に、利用料が低く設定されている点が大きい。国・都道府県・市区町村からの助成金が多く投入されている認可保育所では、利用者負担がかなり軽減されているのである。

一方、一部の補助対象施設(東京都認証保育所など)を除き、原則保護者からの保育料で運営している認可外保育所では、認可保育所よりも料金設定が高額なことが多い。認可保育所のように世帯収入による差異も設けられておらず、全世帯一律の保育料である。また、施設の設置基準に制限はなく、都心など十分な広さを確保しづらいところではビルの一角やマンションの一室で開設しているところもある。経営母体も株式会社やNPOなどさまざまである。

良質な保育所の選択肢拡大こそが本質的な支援

認可外保育所の中には、柔軟な開園時間や病児保育などの個別対応を行うほか、独自の食育や教育プログラムを用意するなど、魅力的な保育を実施することで利用者を募るよう努めている施設も多いのだが、費用面から敬遠されてしまうケースが多い。良質な認可外保育所が子供の預け先として検討しうる選択肢となるには、低所得世帯への対策については別途講じるとして、認可保育所に偏重している補助のあり方を是正し、両者の競争環境を整えることが必要だろう。そうでなければ認可と認可外の価格差は埋まらず、待機児童問題はいつまでたっても解消しないうえ、保育分野全体の活性化や効率化も望めない。

働く母親にとって、子供たちが預け先で充実した時間を過ごしているのでなければ、安心して就労を継続することは難しい。預かってもらえるのならどこでもいい!といった現在のような状況ではなく、多くの選択肢の中からわが子に合う保育所を選んでやれるような保育環境の整備こそが、子育て支援であり、育児期の女性の就労支援といえるだろう。

(※1)認可保育所への入所を希望しながら入所できていない児童数。
(※2)認可外保育所などに入所しながら認可保育所への入所を希望していること。
(※3)2012年9月29日付 日本経済新聞 社説「潜在待機児童にも目配りを」。

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石橋 未来

執筆者紹介
政策調査部
研究員 石橋 未来