息子を料理男子にする方法

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2014年07月31日

  • 河口 真理子

最近中学生の息子が、料理をする(させる)ことが増えてきた。平日の夕食は作らせる感じだが、彼はその気になると土曜日の朝、筆者が寝ている間に朝ごはんを作ったり、母の日も手作り料理をふるまってくれた。彼の料理の写真をフェイスブックにアップすると、速攻で「いいね!」が集まり、コメントも色々いただく。料理をする息子は少数派みたいだ。で、それは小さいうちからの躾けがポイントのようだ。今回はそのコツを伝授したい。

子供が2歳から3歳くらいのころ、料理をしたがるようになる時期がある。忙しい夕食時に「お手伝いしたい!」と台所に乱入してくるので、親としては「忙しいからあっち行って!」と叫びたくなる。しかしここが肝心で、そのように子供が寄ってきたら、「邪魔!」と言いたい気持ちをねじ伏せて「ありがとう」と言う。そしてなんでも良いから「お手伝い」をさせる。ヨーグルトにイチゴを入れるでも、トーストにチーズをかける、でもなんでも。子供用の調理器具を用意しておいて野菜を切らせるのも良いだろう。更に子供と必ず一緒に作るメニューも大事だ。例えばピザトーストを焼くときはトッピングを必ず子供にさせるとか、餃子の餡を包むときには必ず子供と一緒にやるとか。そして子供の料理を大げさに褒める。「やっぱり、○ちゃんが作ってくれると美味しいね!」「今度もお願いね!」「どうやって作ったの?今度教えて」とか。

小学生になれば野菜を切ったり、炒めものや煮物の鍋をかきまぜるお手伝いなども喜んでやるようになる。炒めものを焦がすなど失敗した場合は、何がまずかったのか考えて次回からどうやったら失敗しないかを、叱らずに、諭していく。料理は五感を使って色々な作業を習得する場でもある。例えば炒めものをする際の火加減は、油の焼ける匂いや、野菜を投入した時のジャ!という音などで判断できる。包丁の使い方、火加減の仕方、お米のとぎ方、うどんやそばの茹で方、オーブンでの焼き料理など、その時の熱さや匂い、音などから自然にその感覚を身につけさせることも可能だし、大切なことだ。

また、最後の仕上げの味付けも子供にトライさせよう。塩や酢、砂糖、スパイスなども使って子供が好きな味付けをさせてみよう。料理なんて失敗したら翌日また作れば良いのだ。気楽に考えよう。小学校高学年になったら、一人でもある程度のことはできるようになる。一人で朝食のオムレツを焼いて、プチトマトのサラダと一緒にお皿に盛って出すくらいは可能だ。中学生になると、出汁をとった味噌汁、炊き立てごはんに豚肉の生姜焼きと付け合わせ野菜のような定食メニューくらいは一人で作れるようになる。兄弟がいたら競争したり協力しながらごはんを作ることもできるだろう。

もし、小さい時から子供に料理させたことがなく、親も料理が得意ではない場合も、子供が小中学生くらいならリカバリーの機会はまだある。とにかく親と一緒に作る機会を増やすことが大事だ。特に料理男子を育成するには母親だけでなく父や祖父など身近な大人の男性の料理する風景はかかせない。最近は、レンジを使った手抜き料理、缶詰やレトルト食品をアレンジするだけの簡単レシピがいくらでもネットで入手可能だ。せっかくの夏休み。親(特に父親)も一緒に勉強するつもりで、一緒に料理を作ってみるのも楽しいではないか。

最後に、美味しいものを喜んで食べている息子に、物心ついたころから筆者がずっと語ってきた魔法の一言を。「美味しいものを食べて幸せだね~。でも好きな人に美味しいものを食べて喜んでもらうほうがずっとずっと幸せなことなのよ」。

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