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インバウンド拡大に向けたもう一つのC

2014年04月10日

リサーチ本部 主席研究員 兼 社会連携担当 岡野 武志

2020年の五輪開催に向け、海外からの訪日旅行(インバウンド)拡大が期待されている。日本政府観光局(JNTO)の推計によれば、2013年の訪日旅行者数は、前年比約2百万人(+24.0%)増加し、1964年に統計を開始して以来、初めて1千万人を超えたという(約1千36万人)(※1)。訪日旅行者数を国・地域別にみると、韓国、台湾、中国、米国、および香港からの旅行者が多く、これら上位5つの国・地域からの訪日旅行者数が、全体の7割以上を占めている。また、東南アジア諸国からの旅行者も増加しており、タイ(+74.0%)やベトナム(+53.0%)などの増加が目立っている。一方、中国からの旅行者数は前年に比べて減少しており、韓国の伸び率(+20.2%)も全体の伸び率を下回るなど、国と国との関係がインバウンド拡大に影を落としているようにもみえる。

国・地域別 訪日旅行者数

観光庁が公表している訪日外国人に対する調査(※2)によれば、訪日外国人一人当たりの旅行支出額(※3)は約13万7千円で、2013年の年間消費額は1兆4千億円強に達すると推計されている。消費額を費目別にみると、宿泊料金と買物代がそれぞれ1/3程度を占め、残りの1/3は飲食費や交通費などとなっている。主な訪日目的は、観光・レジャーが過半を占め、観光・レジャー目的の平均泊数は5.9泊となっている。訪日旅行については、「大変満足(43.5%)」または「満足(48.1%)」との回答が多い。再訪希望についても、9割以上が「必ず来たい(56.5%)」または「来たい(36.1%)」と答えている。リピーターが増加すれば、訪問先が各地方に広がり、地域経済の活性化にも寄与する可能性がある。

新興国の海外旅行者数増加、格安航空会社の就航拡大、円高是正による割安感などが、訪日旅行者数増加の主な要因とみられているが、日本政府が東南アジア諸国向けにビザの免除や発給要件の緩和措置を広げたこと(※4)、訪日促進戦略を積極的に展開したこと(※5)なども、増加を後押ししたものとみられる。「出発前に得た旅行情報で役に立ったもの」としては、インターネット上の各種情報のほか、親戚・知人からの口コミや個人のブログなどの回答が多い。また、「日本滞在中にあると便利な情報」としては、交通手段、飲食店、宿泊施設、買物場所、観光施設に関する情報などが挙げられている。インバウンドを一層拡大するためには、さまざまな形で、わかりやすく利用しやすい情報を発信することが重要といえよう。

訪日旅行者数が増加したとはいえ、フランス(約8千3百万人)や米国(約6千7百万人)、中国(約5千8百万人)などと比較すると、海外旅行者の訪問先として、日本の位置づけはそれほど高いとはいえない(※6)。日本政府は、2020年に向けて訪日旅行者2千万人を目指し、目標達成に向けた行動計画を6月までに策定する方針とされている(※7)。インバウンドのさらなる拡大に向けては、日本人の「気質」(Character)、日本人の「作品」(Creation)、および日本人の「生活」(Common Life)の3C(※8)をグローバル社会に浸透させることが重要とみられているが、国と国との関係や受け入れる地域の対応などを含め、もう一つのC(Communication)を磨くことも忘れてはならないであろう。

(※1)「統計発表(2013年12月推計値)」日本政府観光局(JNTO)(平成26年1月17日発表)

(※2)「訪日外国人消費動向調査」観光庁

(※3)「訪日外国人の旅行支出額および旅行消費額には、パッケージツアー参加費に含まれる日本国内に支払われる宿泊料金や飲食費、交通費などが含まれる。なお、日本の航空会社および船舶会社に支払われる国際旅客運賃は含まない。」原注

(※4)2013年7月から、タイとマレーシアについては短期滞在ビザ免除、インドネシアについては数次ビザの滞在期間延長、ベトナムとフィリピンについては数次ビザ発給が実施されている。

(※6)「世界各国、地域への外国人訪問者数」日本政府観光局(JNTO)※いずれも2012年の数値(2013年6月時点の暫定値)

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リサーチ本部
主席研究員 兼 社会連携担当 岡野 武志