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目標達成に向けた正念場

2013年11月06日

政策調査部 主任研究員 神尾 篤史

日本政府は、訪日外国人旅行者数について今年6月に公表した「日本再興戦略‐JAPAN is BACK」の中で、「2013年に訪日外国人旅行者1000万人、2030年に3000万人超を目指す」としている。先日発表された2013年1月~9月までの累計訪日外国人旅行者数は773.1万人(前年同期比+22.4%)と、1月~9月までの累計では過去最高となった(日本政府観光局「平成25年 訪日外客数・出国日本人数」(平成25年10月23日)による)。1,000万人という目標値について、観光庁の久保長官は「1000万人は是が非でも達成したい。その正念場を迎えている」(※1)と発言した。

1,000万人を達成するためには、残り3ヶ月で226.9万人、月次では75.6万人の外国人の訪日が必要ということになる。過去の例でみれば、10月の訪日外国人旅行者数は1月~9月の平均値を上回ることが多いものの、11月、12月は平均値を下回ることが多い。今年の1月~9月の平均値は85.9万人であり、過去の例に照らせば、10月は目標達成に必要な月次の外国人旅行者数(75.6万人)を上回ると推測されるが、11月、12月は目標達成に必要な人数を上回るか微妙な状況にある。

目標達成に向けた方法の一つとして考えられるのは、訪日旅行者の多い韓国(全体の訪日旅行者に占める割合(2012年):24%(日本政府観光局「平成24年 訪日外客数推計値」(平成25年1月25日)による。以下同じ))、台湾(同:18%)、中国(同:17%)の旅行者を増やすことである。このうち、台湾と中国は11月、12月にかけて旅行者が減少する傾向が強く、その減少幅縮小に向けて、重点的にプロモーションを行うことが考えられる。しかし、台湾、中国では公定の祝日が11月・12月にないため、プロモーションを行ったとしても新たな訪日旅行者の獲得可能性は低いと思われる。また、韓国も8月以降、放射能汚染水の問題が大きく報道されていることが影響し、訪日旅行者を増加させるのは難しいと思われる。

そこでもう一つ考えられる施策として、11月、12月に訪日旅行者の増える傾向にある国・地域に対して重点的にプロモーションを行うことである。11月はヨーロッパ(主にドイツ、ロシア)、12月は香港、オーストラリア、カナダ、11月・12月の両月ではシンガポール、マレーシア、インドネシアといった国・地域である。これらの国は11月・12月に休暇があるため、新規の訪日旅行者の獲得は可能と考えられる。

この他、「日本再興戦略」では、2030年に訪日旅行者数3,000万人超を目指すとしている。その達成には、日本へのアクセシビリティ(査証、飛行機の本数など)や日本国内での旅行者の利便性向上が必要と思われるが、さらに重要なのは観光資源の発掘と思われる。日本人にとって当たり前のことでも外国人旅行者にとっては新鮮に映るものがまだまだあるはずであり、それらを見つけることが目標達成に資すると思われる。

このことを考える上で筆者が最近参考にしていることが、テレビ東京系列で放映中の番組「Youは何しに日本へ?」という番組である。司会はお笑いコンビのバナナマン、ナレーションはボビー・オロゴンさんが務めている。番組の内容は成田空港等に訪日する外国人に番組のタイトルである「Youは何しに日本へ?」と問いかけ、その回答いかんでその後の行動に密着するというものである。すなわち、外国人の日本訪問目的が分かり、その後の行動に密着することで、外国人が感じる日本の魅力が明らかになるのだ。もちろん、テレビ番組であるため、面白い事例をピックアップして放映していることを考慮する必要はあろうが、筆者は改めて日本の魅力に気付かされることが多い。

日本には世界に誇る豊富な観光資源がある。それを活かすために必要なのは創意工夫と国全体の協力である。さらなる外国人旅行者の増加を期待したい。


(※1)SankeiBiz 2013年10月24日「訪日外国人1000万人へ追い込み 中韓と東南アジアの集客が鍵

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神尾 篤史

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