自由の女神はベンチャースピリットに微笑む
2012年08月06日
自由の女神と言えば、ニューヨークの象徴である。毎年、大勢の観光客が訪問し、ニューヨーク市のランドマークとなっている。
自由の女神はアメリカ独立100周年を記念してフランス人の寄付で建造されたが、その台座の建造は新聞紙上で募られたニューヨーク市民の寄付で賄われた。米JOBS法施行などでその活用が法制化された、クラウド・ファンディングの先駆けと言えるだろう。(大和総研レポート 米国の「クラウド・ファンディング」に注目 )
かつて、ニューヨーク市は欧州や英国からのアメリカ合衆国への移民が船に乗り、最初に訪れる港町であった。移民たちは新天地での成功を夢見て、アメリカ合衆国に移り住み、その後のアメリカ経済を支えてきた。まさに当時の移民たちはベンチャースピリットを持っていたといえる。
大西洋を横断する豪華客船が沈没する有名な映画においてもその様子が再現されていたが、1等切符を買った乗客は資本家や貴族階級の者たちであった。そして、貨物室のような船底に押し込められていた乗客が現在の多くのアメリカ人の祖先となったような移民である。1等切符を買った乗客は税関の手続きを船内で済ませることができたというが、ほとんどの乗客は税関手続きのために移民局があるマンハッタンの沖合のエリス島に行く必要があった。そのエリス島の隣の島が自由の女神の立つリバティー島である。かつて、アメリカ人の祖先たちは税関手続きに向かう途中に自由の女神を見て何を思っていたのだろうか。ニューヨーク市民による自由の女神の台座への寄付は満足を得る結果を得たことだろう。自由の女神(正式名The Statue of Liberty Enlightening the World:世界を照らす自由の像)はこれからもベンチャースピリットの象徴として世界を照らし続ける。
ベンチャースピリットとはどのようなものであるか。元ニューヨーク州司法副長官の政治家、故Dean Alfangeが残したとされる「An American’s Creed:邦題 アメリカ人であることが意味するもの」と題した著名な演説はベンチャースピリットをわかりやすく解説している(※1)。もし共感する方がいれば自由の女神があなたにも微笑んでいるかもしれない。
(※1)「ベンチャーキャピタリストの実務」長谷川博和著 東洋経済新報社 2007年7月
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
紛争の激化がサステナブルファイナンスに与える影響
脱炭素への取り組み、防衛産業の取り扱い、人権保護等の観点から
2026年04月13日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業のAI導入・利用に必要な人権の視点
世界で進展するAI規制の展開と日本の現状を踏まえて
2026年04月10日
-
遺言のデジタル化に向けた検討
「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」における、遺言の手続きの見直しについて
2026年04月10日
-
AIの評価軸は“賢さ”から“協働”へ
2026年04月13日

