一人暮らしの方、新年度から家計簿をつけてみませんか?

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2012年04月03日

「家計調査」を調べていて、驚いたことがある。34歳以下の一人暮らしの男性は、1ヵ月平均で9.8万円、年に直すと117.6万円も貯めていることが分かった。「家計調査」はあくまでサンプル調査であり、ある程度統計上の偏りはあるものだが、だいたいの家計の姿をつかむためには役に立つ指標である。

3月末で社会人生活が満4年となった私は、117.6万円×4年=470.4万円の貯蓄があってもよいはずだが、残念ながら私の貯蓄残高はこれに比べると随分少ない金額であった。

ではいったい、一人暮らしの若者はどのくらい収入があって、何にどのくらいお金を使っているのだろうか? その概要が下の図表である。自戒を込めつつ、検証してみよう。

まず、平均で見ると女性より男性の方が収入が多く、可処分所得も多い。しかし、消費支出の額は男性より女性の方が多い。可処分所得に占める貯蓄の割合は、女性24.4%に対し、男性は36.1%である。その結果、月平均の貯蓄額は男性9.8万円、女性5.8万円と4万円の開きができている。

女性の出費が比較的多いものには、「被服及び履物」(月1.5万円)、「理美容用品」(月0.6万円)などが挙げられる。「被服及び履物」は1シーズン(3ヵ月)あたり4.5万円と言った方がイメージしやすいかもしれない。

男性の出費が比較的多いものは、「食料」(月4.6万円)である。男女差のほとんどは「外食」(月2.6万円)の違いで説明できる。「家計調査」の「外食」には、昼食代のみならず同僚や友人など居酒屋などで飲む場合の「飲み代」も含まれている。

新生フィナンシャルの調査(※1)によると、20代~30代会社員(一人暮らしに限らない)の平日1日の昼食代は男性479円、女性473円とほとんど差がない。同じく20代~30代会社員の平日の飲み代は男性月12,144円、女性月6,815円と2倍近い差がある。

なお、一人暮らしとはいえ、住居費が男性月3.0万円、女性月3.5万円というのは、首都圏在住者には安すぎるように感じられるかもしれない。これは、地方在住者や割安な社員寮・官舎などに住んでいる人が平均値を押し下げたものと思われる。

仮に女性が家賃8万円(平均プラス4.5万円)のマンションに住んだとすると、収入と他の支出が平均と同じであれば、月の黒字額は1.3万円となる。収入の平均には賞与の1ヵ月平均3.9万円が含まれている。これを除くと単月では赤字が続き、賞与で補填する危うい家計運営となる計算だ。女性に限らず、家賃の支出が多い人は、平均と同程度の収入であれば、他の支出を抑える必要があるだろう。

平均的な一人暮らし世帯の家計と比べて、あなたの収入・支出の金額はどう違っただろうか? 私の場合、貯蓄額が平均より少なくなっていた最大の原因は外食費がかさんだためであった。付き合いの費用はあまり削りたくないが、一人での外食はなるべく控えるようにしたい。

家計簿を付けていない方は、新年度を契機に家計簿をつけてみるのもよいかもしれない。大和総研では、iPhone(※2)で手軽に家計簿をつけられるアプリケーション「ぶたコレ」を無料で提供している。こちらのアプリケーションも、試してみてはいかがだろうか。

単身勤労者世帯(34歳以下)の1ヵ月の収支内訳(2007年~2011年の5年平均)
単身勤労者世帯(34歳以下)の1ヵ月の収支内訳(2007年~2011年の5年平均)
(注1)通勤手当を収入に含み、通勤定期券代を支出に含んでいる。
(注2)「家計調査」における「交際費」は、「贈答用金品及び接待用支出並びに職場、地域などにおける諸会費及び負担費」と定義される。例えば、会社の同僚や大学時代の友人などと居酒屋で飲んだ場合は、「家計調査」では「交際費」には入らず、「食料」(うち「外食」)として計上される。
(注3)黄色で表示した項目は、異性よりも可処分所得に占める割合が2ポイント以上多い項目である。
(出所)総務省「家計調査年報」(用途分類)より大和総研金融調査部制度調査課作成

(※1)新生フィナンシャル株式会社「新生銀行グループの新生フィナンシャルによる『2011年サラリーマンのお小遣い調査』詳細レポート
(※2)iPhoneはApple Inc. の登録商標である。

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是枝 俊悟
執筆者紹介

金融調査部

主任研究員 是枝 俊悟