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償還期間10年か15年かよりも検討すべきこと

2011年10月21日

金融調査部 主任研究員 是枝 俊悟

東日本大震災からの復興のために発行される復興債は、税外収入や臨時増税により償還する計画となっている。民主党は、当初は償還期間を10年とし、臨時増税の期間も10年とする案を提示していたが、10月20日、公明党案に沿う形で償還期間を15年とする案に修正されたという。

復興期間を長くすればするほど、1年あたりの国民負担は軽減できる。臨時増税のうち家計にとって最も影響が大きい「所得税の付加税」の税率についても償還期間10年であれば4%となっているが、償還期間を15年とすれば、税率はそのおおよそ10/15である、2.67%まで下げることができる。

年収600万円・夫婦子ども2人(小学生の子ども2人)の4人世帯で試算すると、償還期間10年・税率4%であれば年間6,400円の負担であるが、償還期間15年・税率2.67%であれば年間4,300円の負担となる。

だが、償還期間を10年にするか15年にするかは今後の家計の可処分所得の変動の最大の要因ではない。それよりも桁違いに大きい負担増が予定されているからである。

今月、10月分から(実際の支給は2012年2月から)は、3歳以上中学生までの子を持つ世帯(※1)に支給される子ども手当が減少する。また、2012年6月分からは、所得制限ありの児童手当になるものと見込まれ、緩和措置が採られないとすると年収960万円程度以上の世帯の手当はゼロになる。

住民税の年少扶養控除の廃止も既に法定されており2012年6月から(非課税世帯を除き)世帯収入に関係なく中学生以下の子ども1人あたり、一律年3万3,000円、住民税が増加する。

民主党政権誕生後、子ども手当の導入により子どものいる世帯の所得は一時的に増えたが、新しい手当の所得制限(年収960万円程度)にかからない世帯においては、2013年にはそれがほぼ元通りに戻り、所得制限にかかる世帯では年少扶養控除がなくなるだけの事実上の増税となる。

以下は、夫婦子ども2人(小学生の子ども2人)の4人世帯における2013年の可処分所得の変動(2011年比)を示した表である(※2)。年収600万円の世帯で、償還期間10年の場合▲14万900円、償還期間15年の場合▲13万8,800円とあまり変わらない。年収1,000万円の世帯では、償還期間10年の場合▲40万7,700円、償還期間15年の場合▲39万8,600円とこちらもあまり変わらない。

政府・与野党においては、復興債の償還期間についていたずらに議論を引き伸ばすのではなく、今後の長期的な子育て支援策をどう構築していくか(新しい児童手当+年少扶養控除廃止を長期的に続けるのか)、新しい児童手当の所得制限世帯への対応をどうするのか、という根本的な部分について熟議を重ねてほしい。

(1)2013年の可処分所得の変動【償還期間10年の場合】

(2)2013年の可処分所得の変動【償還期間15年の場合】

(※1)子どもが3人以上いる世帯を除く。
(※2)試算の詳細な前提条件については、10月5日付の拙稿「臨時増税より重い、住民税・手当減少・厚生年金」を参照。「所得税の付加税」の税率以外は全て同じ条件である。

関連レポート
2011年8月22日「新旧児童手当と子ども手当の比較分析

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是枝 俊悟

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金融調査部
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