ロンドンの賃貸事情
2011年07月25日
ごく私的な話で恐縮ではあるが、ただいま引越しを迫られている。理由は、「オーナーの住宅ローンの借換え交渉がこじれたため」と聞かされている(なんだか、どこかの国の「追加支援策」のような話である)。要は、オーナーが住宅ローンの返済に窮しており、交渉の結果次第では物件の売却を迫られる可能性がある以上、契約の更新が出来ないというのである。
この話を聞いたのは、契約期間(1年契約)満了を迎える直前の今年1月初頭であり、その際に、退去に加えて、「半年間のみの契約更新」という選択肢も与えられていた。その時点では、直後に日本への出張を控えていたこともあり、引越しの手続きをする時間的な余裕がなかったことから、やむをえず半年のみの契約更新をした次第である。「英国の不動産は貸手市場」とは常々聞いていたが、身をもって知ることになった。
というわけで、ここ数日、日系の不動産エージェンシーを通じて物件の下見をしている。しかし、今のところ、満足の行く物件に巡り会えていない。どうもしっくりこない。というのも、どの物件をみても、諸々の条件に比して、家賃が高いのである。
エージェンシーの担当者いわく、現在は家賃が上昇しており、前年比で300~400ドル(月額)は上乗せされた額が提示されているという。言うまでもなく、住宅価格と家賃とは密接な関係にある。ということは、この不景気にも関わらず、ロンドンの住宅価格が上昇しているのだろうか。そこで、柄にもなく、ロンドンの住宅価格の推移を調べてみた。英国の住宅価格の指標にはいくつか有力なものがあるが(Halifax、Nation Wide、王立不動産鑑定士協会等)、ここでは、住宅の「市場価格」の色彩が最も強いと考えられる、オーナーの売却希望価格(Asking Price)を示すRightmoveの指標を参照したい(図表1)。
私がロンドンに来たのは、2010年2月である。その時期と一年後の2011年2月の売却希望価格とを比較すると、2011年2月のほうが高くなっている(※)。その時点で、前述した半年間の契約更新をしたわけであるが、案の定、家賃は上方に改定された。このように、英国では、契約更新時のたびに家賃の改訂が行われることが一般的であり、家賃(の推移)が住宅の「市場価格」(の推移)から大きく乖離するケースは比較的少ないものと考えられる。
そして、その家賃が上方に改定された2011年2月と、直近の2011年7月の売却希望価格とを比較すると、2011年7月のほうが高くなっている(※)。とすれば、エージェンシーの担当者がいうように、家賃が上昇しているのは当然である。なんとタイミングの悪いことか。さて、家賃の上昇に合点がいったところで、現在の住居よりもスペックダウンした引越し先捜しに奔走するとしよう。
(※)住宅の売却希望価格が上昇している理由としては、慢性的な住宅不足に加えて、ロンドン・オリンピックや中国マネーの流入等、さまざまなものが一般的に挙げられている。

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- 執筆者紹介
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ニューヨークリサーチセンター
主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光
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