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番号制度により実現できる施策

2011年02月07日

ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鳥毛 拓馬

2009年6月に「金融所得一体課税と納税者番号制度の実現時期」というタイトルでコラムを書いた。

そこから1年半余りの間に、政権は自民党から民主党に変わり、現在では、税・社会保障一体改革が議論されるなかで、番号制度の議論についても以前より加速している。

以前のコラムでは、当時使われていた「納税者番号制度」という名称を用いたが、民主党政権のもとでは、税のみならず社会保障の分野でも番号を活用するということで、単に「番号制度」という名称が使われている。この名称についても今後検討されることになっている。

先日1月31日に、政府・与党社会保障改革検討本部が公表した、「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針—主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築—」 (以下、基本方針)は、現段階での番号制度に関する方向性を示したものであるといえる。

基本方針では、番号制度を行政による国民の情報の把握だけでなく、国民が行政サービスを利用するための手段としても位置づけており、付番、情報連携(※1)、本人確認の3つの仕組みが必要としている。また、番号制度導入に対する国民の理解を得るため、従来から議論されてきた所得の正確な把握のための税分野だけでなく、社会保障や年金など給付が関わる分野についても利用することが述べられている。

スケジュールについては、2014年に全国民に番号を配布し、2015年から税務分野等のうち可能な範囲で利用開始となっており、番号制度は、いよいよ現実味を帯びてきた。

基本方針には記述されていないが、番号制度の円滑な導入を考えた場合、番号制度を運用する上で重要な役割を担う証券会社や金融機関が、番号を納税事務以外で活用することもある程度は認めるべきであろう。例えば、取引開始時の本人確認やその後の住所変更の確認、金融商品取引法により求められる顧客情報の把握など、法令上求められる業務での活用などは認めてもいいと思われる。

また、将来の納税システムのあり方も含めた検討が必要である。例えば、証券・金融分野について将来、金融所得一体課税が実現すれば、金融所得内での損益通算が行われるため、証券会社、銀行間など複数の金融機関の口座間での損益通算が行われるようになる。この際、顧客が申告しなくても損益通算が行われ、納税・還付できるシステムを構築することが必要になってくるであろうが、番号制度がこのシステムに利用できれば、口座間の名寄せを効率的に実施できるであろう。

番号制度そのものの議論だけが先行するのではなく、番号を利用して具体的に行う施策についての検討が、今後、国民的議論として活発になっていくことを期待したい。

(※1) 複数の機関において、それぞれの機関ごとに番号やそれ以外の番号を付して管理している同一人の情報を紐付けし、紐付けられた情報を相互に活用する仕組みとされる。

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ニューヨークリサーチセンター
主任研究員(NY駐在) 鳥毛 拓馬