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早々と停滞した日本経済

2010年12月09日

リサーチ業務部 主席研究員 小林 卓典

下のグラフは主要国の鉱工業生産の推移を示している。日本は年央から明確に生産水準が低下している。各国を見渡しても、重債務に苦しむ南欧諸国を例外とすれば、金融市場に特段大きな問題を抱えていないはずの日本の生産停滞は目立っている。現状は景気が一時的に停滞する踊り場に過ぎず、来春には回復するというのが大勢の見方である。もちろん景気回復を予想の中心シナリオに据えることに異論はない。ただ、景気の後退と踊り場との線引きは曖昧なものであり、事実上、日本経済が軽い後退局面にあるとしても驚くべきことでもない。日本の生産停滞の原因はやはり過度の円高にある。金融緩和は不足している。

このところ、為替相場がいくぶん円安に振れ、株価が反転したこともあり、安堵感が広がっている。このまま景気が失速するとする意見はごく少ないようであり、一頃と比べて危機意識は薄らぎ、追加的な景気浮揚策を求める声は静かである。デフレ脱却に対する関心も後退している。

世界経済は、来年も新興国を中心に拡大を続ける見通しだが、ユーロ圏の財政問題の解決や、米国労働市場の本格回復は、来年以降に持ち越された。新興国のインフレもあまり軽視できない問題となりつつある。何らかのショックをきっかけに金融市場の安定性が損なわれる場合は、再び円高が進行する可能性がある。その場合、世界経済が拡大を続けても、日本経済の回復は、はかばかしくないという今年と同じような状況が再現される可能性もあるだろう。

来年は良い年になると思う。ただ、政策当局には、海外経済の好転に期待を寄せるより、むしろ自国の政策転換で局面を打開する備えを望みたい。

主要国の鉱工業生産

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