中間選挙大敗が怪我の功名、オバマ自身のチェンジで米国復活へ

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2010年11月11日

  • 成瀬 順也
アメリカは2010年最後のビッグイベント「11月FOMC」と「中間選挙」を無事に終了。これらが懸念材料となり暗雲立ち込めていた米国株の霧が晴れるがごとく、NYダウは年初来高値目前の足踏み状態から再び上昇基調を強めている。ついにはリーマン・ショック直前の1万1421㌦も更新。株価の上では、ショック前に戻ったといえる。

FOMCでは、市場の緩和期待を上手く繋ぎ止めたという点を評価したい。米国債買い入れ6000億㌦という総額は、ほぼマーケットのコンセンサス通り。やや物足りないながらも、状況に応じて総額や購入ペースを増額する旨明記したことで、好材料出尽くし感が広がるのを食い止めることができた。さらに、FRBの「雇用の最大化と物価の安定」という周知の使命をいまさら敢えて声高にアピールすることで、緩和状態の長期化期待をより醸成させることに成功したのである。

他方、中間選挙でのポイントは二つ挙げられよう。オバマ大統領率いる民主党が歴史的大敗を記録したが、選挙終了という事実だけで株式市場にとってはポジティブ。もう一つは漸く景気対策がまとめる方向に動き出すことであろう。これまでは選挙前であるが故に、民主党は歳出拡大、共和党は減税と、持論を展開することに終始し、景気対策が放置されてきた。

共和党圧勝のお陰で、大統領は民主党のままでも、下院は共和党、上院は拮抗状態となり、バランス良い政策が採られるようになろう。選挙結果に応じた政策(方針)に両党は妥協せざるを得ない。低所得者、零細企業に偏った政策から、富裕層、大企業まで幅広く対象にした政策に変わることで、個人消費と設備投資の回復が期待される。所得の少ない消費者・企業を助ける政策だけでなく、既に金余り状態にある消費者・企業にお金を使わせる政策も実行されることとなろう。

短期的には、増税懸念が薄れることで、感謝祭明けから本格化するクリスマス商戦や、高額品の消費が上向くことが期待される。量的緩和による株価押上げも、消費マインドを明るくさせる効果があろう。中長期的には、医療保険改革の修正によりヘルスケア産業、厳しい金融規制の反動から金融セクター、グリーン・ニューディールの進展から環境関連の企業などにも好影響をもたらそう。

このまま一気に株価上昇が続くかどうかは、オバマ大統領次第。選挙結果を反映した新議会が始まる来年1月を待たずして、リーダーシップを発揮できるか否か。次なるステージに立ち、NYダウは2011年の年間高値1万3000㌦程度に向けて上昇するものと予想している。

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