急がれる高齢化社会への対応策

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2010年06月29日

  • 中野 充弘
人口統計は経済予想や天気予想などと比べて、その実現可能性が高い(いいかえれば「予想が当たる」)ことが特徴である。例えば現在の10歳の子供が、8年後に大学に進学し、やがて就職、結婚、子育て、退職、死亡などのライフスタイルにおいて、大きなブレは生じにくいからである。

予測の精度を検証してみよう。今から24年前の1986年時点では、2009年の65歳以上人口2682万人、人口構成比19.8%と予想されていた。実際には、2009年10月1日時点の65歳以上人口は2901万人、人口構成比22.7%であった。

1986年というとバブル直前時点である。その後の高成長、急落、反発、長期に及ぶ低迷などの過程で、国民全体がその都度、楽観から悲観まで大きく揺れ動いた。そうした中で、先にみたように人口予測はほぼ正確な将来像を示していたわけだ。

では、これから20年後の予想はどうか。(いうまでもなく、この予想の精度は高い。)2030年には65歳以上人口が3667万人、31.8%と予想されている。特に現在61~63歳の「団塊の世代」(昭和22~24年生まれ)が、これから数年後に65歳以上世代に仲間入りとなる。

ところで、65歳以上人口が30%を越えるという数字は、時間軸でみても、また国際比較においても相当深刻な水準である。

日本の65歳以上人口構成比(10年毎)は、1950年4.9%、1960年5.7%、1970年7.1%、1980年9.1%、1990年12.1%、2000年17.4%で推移してきた。また世界との比較では、2010年予想で中国8.2%、インド4.9%、ブラジル6.9%、ロシア12.9%、韓国11.0%、シンガポール10.2%、米国13.0%、フランス16.2%などとなっている。

このようにわが国は急ピッチで超高齢化社会に向かっているにもかかわらず、対応策はまだ準備されていない。医療や介護は必ずしもマーケットメカニズムを取り込むだけでは解決できないし、公的支援拡大には財政面での制約がある。年金問題に関しては、世代間の利害関係の調整が難しい。元気な高齢者を活用する社会、世界の成長国への投資、国民負担の見直し、などに対する国民のコンセンサス造りを急がねばならない。

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