日韓比較が流行っているが
2010年06月14日
韓国企業の躍進に関心が集まっている。世界市場でのブランド力向上は目覚しく、新興国市場の開拓、最も市場規模の大きいいわゆるボリュームゾーンのシェア獲得では、日本企業に先行しているといわれている。その理由を企業戦略の優劣に求める意見も多いが、より直接的には金融危機の前後における為替レートの変化が、価格競争力に及ぼした影響が大きい。
図1は日韓の輸出数量の推移を表わしている。08年のリーマンショック後、韓国の方が輸出の底入れは早く、かつすでにショック前の輸出水準を超過している。対して日本の輸出数量はショック前のピークをまだ15%下回っている。
図2は日韓の実効為替レートを表わしているが、金融危機に直面して通貨安になった韓国と、逆に通貨高になった日本とでは、前者の方が危機からの脱出が容易となったのは当然のことである。2006~07年の頃は、むしろ日本企業の優位性が語られていたが、これも日本企業の戦略が素晴らしかったというよりは、為替レートが有利な競争条件を提供していた面が大きかったはずだ。
なお図2にはTOPIXも描かれている。ウォン安が進むほど日本の株価が下落する傾向があることがみてとれる。株式市場は、為替レートの変動が日韓の競争条件に決定する重要な要因であることを知っている。


このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
開示府令の改正案が公表(2026年から一部適用)
有価証券報告書のサステナビリティ情報、人的資本、総会前開示に関する改正案
2025年12月10日
-
日中関係悪化、中国は自国経済・社会の不安定化回避を優先か
2025年12月10日

