正しい情熱があるのか

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2010年05月06日

  • 原田 泰
昨年の行政刷新会議の事業仕分けに引き続き、4月23日から独立行政法人を対象にした仕分け第2弾にも参加した。そこで、沖縄科学技術研究基盤整備機構の運営委員会の経費が高すぎるということが問題になった。この機構(これが2012年度に沖縄科学技術大学院大学になる)の目的は、自然科学系の世界最高の研究・教育水準の大学院大学を設置して、沖縄を先端的頭脳集積地域として発展させ、その経済的自立を図ることだという。

この機構には運営委員会があるが、ノーベル賞受賞の科学者5人を含む運営委員に支払う謝金が高すぎるというのが仕分けで議論になった。だが、沖縄に縁もゆかりもない人を集めて、世界一流の大学院大学を作ろうとすればお金がかかる。沖縄に来て研究する理由は、給与の高さと研究費の潤沢さ以外には何もないからだ。

日本人委員の謝金は因果を含めて減らせるかもしれないが、沖縄が南の島であること以外何も知らない海外の学者の謝金は、多少は高いのかもしれないが、半分にしたら安すぎるだろう。むしろ、高い謝金は、世界一流の大学院大学を沖縄に作るという覚悟を世界に示すものかもしれない。

骨董を集めたい人は、まず、すべて承知でいくつかを高く買うものだという。そうすれば評判が立って骨董を売りたい人が集まってくる。中には困っている人もいる訳だから、最終的には、そう高くもなく良いものがたくさん買えるそうだ。

お金があれば骨董集めも称賛される趣味だが、お金がなければからかいの対象になりかねない。しかし、高くを目指せば高くが実現できるかもしれないし、身の丈に合わせることだけ考えていれば低いものしか実現しないものかもしれない。

問題は、沖縄の開発策として、縁もゆかりもない人を集めて、世界一流の大学院大学を作ることが正しい発展戦略なのか、関係者は、本気で、そういう大学を作りたいのか、作れると思っているのか、与えられた予算の中で最大限の成果を示そうという能力と情熱を持った人が行っているのか、そもそもこれと日本の科学技術戦略との関係はどうなっているかということだろう。

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