2010年米国の五大政治日程

RSS

2010年01月13日

  • 吉川 満
金融制度問題が土壇場まで来て決着を見ていない米国を中心に、制度問題をフォローしている為もあって、私は基本的に米国の現状を追いかける割合が高いのです。2010年、米国をウォッチする際、最低限頭に置いておいた方が良いのは、どのような政治日程でしょうか。候補は沢山あると思いますが、日本にも影響が大きいと考えられるところから、私としては次の5項目を意識しておきたいと考えています。

すなわち(1)中間選挙、(2)医療保険改革に関する統一法案、(3)金融規制改革に関する統一法案、(4)普天間基地移転に関する日本側の決定、(5)COP16 の5項目です。それではその5項目を、一つずつ簡単に説明していく事にしましょう。

まず、中間選挙というのは、米国大統領選挙の中間年に行なわれる事からこう呼ばれる、連邦議会選挙です。下院の全議席と、上院の三分の一の議席が改選となります。2010年の中間選挙は11月2日に予定されており、現時点では与党:民主党の苦戦を予想する声が強そうですが、さりとて次期大統領選挙の候補者が誰に成るのか、名前さえ上がっていない現状です。次期大統領選挙は、2年半以上先の事ですから、当然の事ですが、今後の米国の流れがどうなるのか、共和党優位が長く続いた米国にオバマ大統領が打ち込んだ楔がどの程度持続性があるものなのかを占う意味でも、なんと言っても中間選挙からは目が離せない所と言えましょう。

オバマ政権の二大課題は、国内においては医療保険問題、国外においてはアフガニスタン問題であるといわれてきました。このうち医療保険問題に関しては、2009年12月25日にほぼ全国民に近い層をカバーする医療保険法案を上院が通過させて、法律制定の可能性が大きく高まりました。下院は既に下院版の法案を通過させていますから、最終的な成立に向けて、見通しが大きく高まったのです。尤もこれから上院法案、下院法案の妥協法案を作成し、この妥協法案を両院で通過させねばなりませんから、波乱の余地がない訳ではありませんが、オバマ大統領は、2010年1月28日に予定されている一般教書演説の前までに成立した法律にサインしたいと述べ、立法作業に発破を掛けています。これが成立すれば全国民の厚生・福祉を大きく高める事になるので、いかにも民主党らしい、成果を挙げることができます。ウォッチポイントとしても絶対にはずせない所といえましょう。

第三の重要政治日程としては、金融規制改革に関する統一法案を挙げたいところです。米国財務省は昨年早い時期から新金融規制・新金融制度の作成にかかっており、その作業を議会が引き継いで昨年中に下院だけは本会議を通過させるところまで作業が進みました。上院では別の法案が審議されているので、これからは別の法案を上院側が通過させ、その後上院法案と下院法案の妥協法案を作り、その妥協法案を両院が通過させるという手続が完了して、いよいよオバマ大統領がサインし、法律成立と言う事になります。まだまだ多くの手続きを踏まなくてはいけないので、多少の波乱はあるかもしれませんが、米国が適当な時期に法律を作れないと言う事になると、株価にも影響が出るかもしれないので、フィリバスターと言う議事妨害を用いたりして多少は決着が遅れるとしても、遅くなり過ぎない時期に法律は成立するのではないでしょうか。ちなみに米国民主党は今年前半をメドに統一法案完成にこぎつけたいと考えているようです。金融機関の観点からは、最も関心のあるところであるとも申せましょう。

四番目には、日本と最も関係の深い、普天間基地移転問題を上げておきましょう。鳩山首相は5月末までに結論を出す意向を表明していますが、米国、社民党、地元住民の三者の間に挟まれて、身動きが取れなくなっているようにも見受けられます。今となっては日本だけでなく、米国にとっても、アジアにおける基本的な同盟国をどこに定めるかと言うのは、世界的に重要な問題となっています。ウォッチポイントとして、絶対にはずせないところと思われます。

第5のウォッチポイントとしては、本年11月29日から12月10日にかけてメキシコで開催が予定されているCOP16を挙げておきたい所です。先進国・新興国・発展途上国の間で利害関係が異なり、そう簡単に合意が得られないことは、今も事情は変わっていませんが、最終的には人類の生存可能性に結びつく問題だけに、是非とも京都議定書に続く新しい合意を達成しておきたいところです。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。