日本経済再生の処方箋
2009年12月30日
2009年の「今年の漢字」に「新」が選ばれた。1995年以降の「今年の漢字」を年代順に振り返ると、「震(=1995年)、食、倒、毒、末、金(=2000年)、戦、帰、虎、災、愛(=2005年)、命、偽、変、新(=2009年)」と、2009年は久し振りに前向きの響きを持つ漢字が選ばれたことが判る。
本稿では、新年を迎えるに当たり、「日本経済が再生する為に必要とされる処方箋は何なのだろうか?」という点を再考してみたい。
日本経済再生の鍵は、内需と外需、製造業とサービス業、経済のディマンドサイド(需要側)とサプライサイド(供給側)のバランスのとれた経済政策を実行することにある。具体的に、筆者は以下の3点がポイントだと考えている。
第一に、わが国の外需主導型の経済構造を是正する意味で、今まで脆弱であった内需を刺激する政策が必要だ。この意味で、民主党政権が打ち出している「子ども手当」を中心とする少子化対策は高く評価できる。
第二に、内需と共に、日本経済の車の両輪とも言える外需を刺激する政策が欠かせない。わが国では「外需か?内需か?」という類の二者択一の議論が盛んだが、バランスの取れた政策が必要だ。多くの外国人投資家は、新政権は子ども手当を中心とする「内需のディマンドサイド」にしか関心がない政権だと誤解している。外需にも焦点を当て、内需と外需の「両面作戦」で、サプライサイドの成長戦略をしっかりと発信していけば、外国人投資家の日本への投資スタンスも大きく変わる筈だ。わが国の産業構造を俯瞰すると、今後の重点分野は、(1)効率性、他産業への波及効果、成長性が高い「環境分野」、(2)雇用吸収力が大きい「医療・介護を中心とするサービス分野」となるだろう。政府と日銀が連携して、投機的な円高やデフレを断固として阻止する姿勢を鮮明化することが重要である点は言うまでもない。
第三に、最近の雇用環境の悪化を勘案すると、実効性のある雇用対策を打ち出すことが必要だ。具体的には、対症療法的な「痛み止め」として、雇用保険の空洞化を是正し雇用調整助成金を拡充することのみならず、職業訓練システムの抜本的な改革や医療・介護を中心とするサービス分野での雇用拡大といった積極的な雇用政策が不可欠である。
筆者は、以上の三本柱からなる経済対策が打ち出されれば、日本経済は必ずや再生に向かうと確信している。
2010年の「今年の漢字」には「光」の様な明るい漢字が選ばれて欲しい。2010年は日本経済が長期拡大に向けた輝かしい第一歩を踏み出すことを心から期待したい。
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副理事長 熊谷 亮丸
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