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新米(しんまい)駐在員の呟き

2009年12月28日

経済調査部 シニアエコノミスト 近藤 智也

私事で恐縮だが、8月末にニューヨークに異動して新しい部署で業務についている。2001年から米国のマクロ経済を担当しているが、実際に長期滞在してその生活を実感することはこれまでになかった。以下、駐在4カ月ながら感じた点を思いつくままに書かせていただくが、個人的体験・感想の領域を出ないことを予めご了承いただきたい。

まず、面喰ったのがサービスの効率の悪さである。“お役所仕事”という言葉が日本にはあるが、恐らくこちらでも当てはまるだろう。たまたまかもしれないが、対応する職員の人数は少なく、スピードはゆったりとしており、結局手続きを待っている人だけが増えていく。また、公的セクターにとどまらず、民間でもレジの前に行列ができてしまう。日本のスピードに慣れている分だけ、一段と遅く感じるのかもしれない。交通機関も例外ではなかろう。

NYの地下鉄の場合、サイトに時刻表が掲載されているが、あまり当てにならないし、そもそもホームに時刻表はみられない。朝のラッシュ時に到着が遅れても、日本のように、“○分遅れました。ご迷惑をお掛けしました”というアナウンスもない。では、こちらの人が悠然とホームで待っているかといえば、一人がトンネルを覗き込めば、周囲の人も連鎖反応で覗いて、同じようにイラついたような表情を浮かべるのである。

一国の中長期的な経済成長を考える場合、生産性は重要なファクターではあるが、製造業に比べるとサービスセクターの生産性の正確な計測の難しさはこれまでも指摘されている。一方で、IT投資によって経済全体の生産性が向上したという議論も一般的になっているが、マクロ統計・経済分析と実感には乖離があるようだ。逆に言えば、米国の場合、サービスセクターの生産性を上げる余地がまだまだあるということか。

地下鉄ネタを続けると、車内には、日本のような雑誌の中吊り広告はなく、食べ物やTV番組、医療関連、医療保険、移民関連の広告などシンプルである。大学等教育機関からの勧誘もあって、具体的なサクセスストーリーが描かれているのは米国ならではかもしれない。広告は英語の他にスペイン語で書かれていることが多いが、ヒスパニック系が増えているという事情を反映してのこと。なお、駅には、“ホームと電車の隙間には気を付けるように”という注意書きが掲示されているが、必須である英語とスペイン語のほかに、中国語とハングルとロシア語で書かれており、日本語はみられない。

師走の地下鉄で、11/1のニューヨークシティマラソンの案内が張ってあったのには驚いたが、全般的に宣伝効果が大きいようには感じられない。また、日本とは異なり、こちらではTVのコマーシャルにハリウッドの有名俳優が出てくることはない。食べ物や商品がいかにお買い得かが値段とともに大声で強調されるケースが多い。

今さらながらだが、こちらには大柄な人が多い。日本では両国周辺でしかお目にかかれない体型の人々が普通に歩いている、しかもゆっくりと。階段を上っているときに、今目の前の人が転んだら、自分は大けがをするかもしれないと感じたことは一度や二度ではない。また、交通機関の椅子には一人分ずつの仕切りがあるが、そのスペースに収まることはかなわない。こちらでは、医療保険改革が秋から冬にかけてオバマ政権や議会における最優先課題だったが、医療費がかかるのはやむなしか。一方で、食べ物に気を使ったり、町を走ったりジムで鍛えたりする人々が多いのも事実であり、両極端という表現が当てはまるだろう。

最後に、2010年は寅年。日本で寅といえば野球の球団だが、一巨人ファンとしては、骨のある相手と対戦するのも一つの楽しみであり(2009年は11勝11敗2分と唯一勝ち越せなかった)、メジャー・リーガーを獲得して戦力を整えるタイガースには注目したい。翻って、巨人の“風神雷神”(2008年計135試合、2009年計139試合登板)が“J(F)K”の二の舞にならないように願うばかり。なお、こちらのタイガーは諸般の事情によりしばらく休養されるとのこと。

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近藤 智也

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経済調査部
シニアエコノミスト 近藤 智也