今年の株主総会に向けて
2009年05月13日
今年も株主総会が集中する6月が近づいてきた。このコラムが掲載される5月13日現在でも、「事前の株主提案権(議案を提案して、株主総会の招集通知に記載させるという形の株主提案権)」や「動議形式の株主提案権(株主総会の場で議案を提案するという形の株主提案権)」の事例、会社提案議案の実質的否決の事例、会社提案議案の取下げの事例なども見受けられる。例えば、事前の株主提案権の事例は、各上場会社のプレスリリース(適時開示書類)などから10社見つかっている(これらのうち5社が5月に、4社が6月に株主総会を開催する予定となっている。そのうち1社については取下げられている。)。6月の株主総会の季節が近づいてきていることがひしひしと感じられる。
この株主総会に関して、雑誌において上場会社向けに特集が組まれていたりなどする。そこには、例えば、法令改正に伴う事業報告などの書き方、株券電子化に伴う定款変更議案・買収防衛策議案などの議案に関するもの、機関投資家などの動向などが書かれている(※1)。これらも上場会社においては、押さえておかねばならないことだろうが、個人的には、コーポレート・ガバナンスについても、再度、自社の方針などを整理しておくべきではないかと思われる。コーポレート・ガバナンスは、2004年の東証「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」では「企業活動を律する枠組み」と定義されているもので、新しい問題ではない。しかし、近年、投資家側から関連する提言などが出されている。また、最近、東証の上場制度整備懇談会が「安心して投資できる市場環境等の整備に向けて」を、日本監査役協会の「コーポレート・ガバナンスに関する有識者懇談会」が「上場会社に関するコーポレート・ガバナンス上の諸課題について」を、日本経済団体連合会が「より良いコーポレート・ガバナンスをめざして【主要論点の中間整理】」を公表している。その上、金融庁の金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」、経済産業省の企業統治研究会では現在審議されている。このような中、コーポレート・ガバナンスに関する関心は高まり、株主総会などで質問される可能性は高いのではないだろうか。それゆえ、上場会社において、今一度、自社の方針などを確認しておくべきではないだろうか。
(※1)例えば、旬刊商事法務、旬刊経理情報、ビジネス法務など。
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堀内 勇世