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なぜ日本経済の悪化度合いは大きいのか

2009年03月02日

原田 泰

世界金融危機の直接の影響は、日本が先進国の中で一番小さいはずなに、実体経済は日本が一番悪化している。2009年10-12月期の実質GDPの対前期比年率は、アメリカがマイナス3.8%、ドイツがマイナス8.2%、フランスがマイナス4.6%、イギリスがマイナス5.9%であるのに対して、日本はマイナス12.7%である。この理由は、もちろん、12月の本欄「なぜ日本のショックは大きいのか」でも書いたように、日本の外需への依存度が高いことにある。ヨーロッパの中でも、輸出に依存しているドイツの落ち込みは相対的に大きい。やはり輸出依存の高い韓国の実質成長率も、マイナス20.8%と大きい。しかし、日本の落ち込みが大きい理由は、それだけだろうか。

危機以後、円は急速に上昇した。金融危機が認識されていなかった2007年前半の120円から、現在の90円まで3割以上も上昇した。最近は、おそらく、日本の政治が見捨てられたことによって、円はわずかに下落しているが、それでも3割の上昇である。

内閣府経済社会総合研究所の計量経済モデルによると、10%の円高で2年目に0.54%実質GDPが減少する。30%の円高なら1.62%減少することになる。日本の実質GDPは09年度でマイナス3%減少するというのがエコノミストの相場観になっているが、円高がなければマイナス1.5%程度ですむことになる。これなら、世界標準の落ち込みである。

では、なぜ円高になっているのだろうか。為替レートとは、通貨と通貨の交換比率である。他国の通貨が増えて、自国の通貨が増えなければ円高になるのは当然である。通貨供給の元をなすマネタリーベースの増加率を見ると、アメリカが2倍以上に増えているのに、日本はほとんど増えていない。円高になるのは当然だ。不十分なマネタリーベースの供給が、日本の不況を悪化させている。

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