なぜ日本のショックは大きいのか
2008年12月01日
世界金融危機はアメリカ発で、日本の金融危機の程度はずっと小さいのに、日本経済への影響が大きいのはなぜだろうか。その一因は、日本の外需への依存度がさらに高くなっていることにある。
世界の輸入の中でアメリカの占める比重は15%(IMFデータ)にすぎないが、世界のGDPに占める比重は25%(世銀データ)である。このように数字が異なる理由のひとつは、世界の貿易は部品など中間財が多いが、アメリカでは最終消費財の輸入が大きいことである。中国の全世界に対する輸入のシェアは急増しているが、最終消費財輸入でのシェアは低いままだ。中国は部品を輸入しているが、それを組み立て最終製品になったものの行き先はアメリカである。したがって、アメリカの輸入が減少すれば、中国の輸出も減少する。日本は、中国に大量に輸出していると思っていたが、その多くは部品で、結局、最終的にはアメリカに輸出していたのと変らない。世界の最終需要のかなりの部分は、アメリカの消費者が担っている。
日本は、アメリカの豊かな消費者向けの製品を提供してきた。高級車、大型SUV、大型で画質の高いテレビなどである。不況になれば、必需性の低いものから支出を削られる。高性能の車から走るだけの車へとシフトする。低付加価値製品への需要のシフトが起こって、日本の輸出の主力である高付加価値製品はより大きな打撃を受ける。
しかも、日本の生産構造が、これらの輸出向け高付加価値製品に特化している。設備投資も、ここに向けて行われてきた。輸出が減ると投資も減るという構造ができてしまった。しかし、高賃金の日本で今さら低付加価値製品も作れない。内需型の経済にすると言って、バブルを起こしたり、無駄な公共事業を拡張したりするわけにもいかない。円高に負けない経済にするなどと言うのは強がりに過ぎない。斬新な政策アイデアが求められている。
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