1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. コラム
  4. 新冷戦とマネーフロー

新冷戦とマネーフロー

2008年09月16日

調査本部 執行役員 調査本部副本部長 兼 金融調査部長 保志 泰

北京オリンピック開幕と同時に発生したグルジア紛争はそれから1ヶ月が経過した。ロシアと欧米の対立の構図は「新冷戦」と表現され、今後の国際情勢を考える上で極めて重要な問題となった。仮に「新冷戦」が定着したとき、世界のマネーフローにはどのような影響が及ぼされるだろうか。

89年のベルリンの壁崩壊で冷戦が終結し、世界とりわけ米国市場は「平和の配当」を享受した。前後の株価を比較すると一目瞭然である。88年末までの15年間におけるNYダウの上昇倍率は2.5倍であるが、それ以降の15年間では4.8倍にも拡大している。世界経済におけるリスク要因が低減して資本移動が自由になった、すなわちグローバル化が進んだことが大きく影響したと言えるだろう。

今後「新冷戦」の構図が定着して、これまでのグローバル化の流れに水が差されるとしたら、当然マネーフローは縮小せざるを得ない。もっとも、「新冷戦」はかつてのような相容れないイデオロギーを対立軸としたものではなく、あくまで経済的覇権を争うものであることを考えれば、過度な心配は必要ないかもしれない。グローバル化が逆戻りすることは、決してロシアに利益をもたらさないからである。

しかし、資源権益をバックにした強権的な姿勢が強まったとき、フリー・フェアが命のグローバル化にとって大きな阻害要因になることも間違いない。下手すると、さまざまな経済ブロック間の対立に飛び火し、世界のマネーフローが滞ってしまう可能性も否定できない。過去20年間のグローバル化の波の打ち返しが来ることは、ある程度は予想されていたことであるが、それが大きくなるかどうかは、これからの各国の姿勢次第であろう。

これは、何もロシアの姿勢だけに問題があるのではなく、資源争奪にかかわる全ての国々に責任がある。その中で日本としてやるべきことは、資源権益獲得に奔走するばかりではなく、全世界の利益になる新エネルギー開発に国家を挙げて注力することではないだろうか。その際に全世界からの資本を呼び込むようにすれば、日本を軸とした新たなマネーフローが生まれるチャンスになるかもしれない。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

保志 泰

執筆者紹介
調査本部
執行役員 調査本部副本部長 兼 金融調査部長 保志 泰