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孫と祖父の会話 その3

2008年03月10日

川岡 和也

【今回の内容は、2006.1.17付「孫と祖父の会話」、2007.1.22付「孫と祖父の会話 その2」のつづきとなっています。話中の各人物も以前から登場していますので、それらから先にご覧になることをお勧めします。】

「おじいちゃん、このあいだのジローの入学祝いのお食事会、楽しかったね。料理もすごくおいしかったし。ジローも喜んでたよ。」

「そうかそうか、ジローくんも4月からはいよいよ小学生だな。ついこの前までは、赤から、青とか金とか紫に変わる人形を買わされとったのにな。早いもんだ。」

「ああ、電王の人形ね。こんどはガルルセイバーがほしいって言ってたよ。」

「なにっ、あの子はまだそんなレンジャー戦隊のおもちゃが欲しいのか、小学生になるのに。」

「ガルルはレンジャーじゃないよ。キバだよ。」

「何だかわからないが…、とにかくあの子はテレビの観すぎじゃないのか。言葉使いも悪い影響を受けてるぞ。何かとすぐに「いーじゃん」とか「すげーじゃん」とか言うし。」

「それ歌だよ。いーじゃん、べつに。(※1)

「まあ確かにそこいらの子どもに「そんなのカンケーねー」とか言われるよりはまだ可愛げがあるが…。しかし、ルミちゃんも男の子の番組に詳しいね。それより勉強はちゃんとしてるのかい? こんどは4年生になるんだろ。」

「ちゃんとやってるよ。2月から塾も週3回行ってるし。」

「えええっ、週3回も! ルミちゃん、ほかにピアノとか水泳とかもやってて、それじゃ遊ぶ時間が全然ないだろ。」

「ほかのみんなもおんなじだよ。まあ、遊ぶ時間と言えば、学校が息抜きかな。」

「学校が息抜きだって?」

「うん、塾の宿題をやってれば学校の授業は簡単すぎて楽勝だよ。(※2)

「そうなのか…。昔とは小学生の生活も様変わりだな。」

「そう言えばこのあいだ学校で、ルミが大人になったらパン屋さんで働いて会社のネンキンをいっぱいもらう計画をみんなに話したのね。そしたらタクヤくんが、あそこのパン屋じゃネンキンなんかくれないぞって言うから、くやしくてパン屋のおじいさんに聞いてみたの。そしたら教えてくれたよ。ほかのパン屋さんと一緒に大きなネンキンに入っているから大丈夫だって。コウセイネンキンキキンっていうんだよ、ルミ覚えちゃった。生きてる限りずっと出るネンキンだって。」

「業界の厚生年金基金か。昔はおじいちゃんの会社も厚生年金基金をやってたけど、途中でやめちゃったな。(※3)

「あの15年で終わりのネンキンになっちゃったって話? でも会社ってどうして最初の約束と違うように変えちゃうことがあるの?」

「時が経つと最初に思ったとおりにいかないことがあるんだよ。会社だって最初から約束を破るつもりじゃなかったと思うよ。」

「そうなの? ルミは、できない約束はしちゃいけませんって教わったよ。」

「そうか、本当はその通りだな。それは学校の先生に教わったのかい? それともパパかママかな。」

「おばあちゃんが言ってたんだよ。おじいちゃんは昔、会社をやめたらおばあちゃんと二人で世界中を旅行してまわるって約束したのに、まだどこの国にもつれてってくれてないって。おじいちゃん、ルミやジローと遊んでくれるのはうれしいけど、たまにはおばあちゃんと二人だけでどこか外国旅行に行ってきたら? じゃないと、おばあちゃん、またリコンとか言いだしちゃうかもよ。」

(※1)電王、キバ、ガルル …… 幼児向けヒーロー番組に出てくるキャラクター等の名前。「いーじゃん、いーじゃん、すげーじゃん…」という歌詞で始まる主題歌が流行った。

(※2)ユニークな試みを実施する小学校や工夫を凝らした授業展開を行なう先生も存在する一方で、結果的にただスローペースで内容の薄い授業になってしまっているケースが多い印象も拭えない。学習指導要領の改訂により小学校の授業時間や内容が見直される見通しだが、現在は学校の授業と塾で教える内容とのレベル感の差は大きい。

(※3)国の厚生年金の一部を代行する機能を持つ「厚生年金基金」は終身年金給付が条件だが、終身給付はその分だけ企業会計上の債務負担に影響があるため、制度見直しの一環として多くの企業が従業員の同意を得て終身年金を廃止した。

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