孫と祖父の会話(2007年、その後…)

RSS

2006年01月17日

  • 川岡 和也
「おじいちゃん、今日はありがとう。ルミ、とっても楽しかったよ。だってお年玉ももらったし、レストランでおいしいもの食べたの久しぶりだし、ラブ&ベリーを5回もやらせてもらったし。おじいちゃん、大好き。」

「そうかそうか。それは良かった。パパやママは普段いろんな所に連れてってくれないのかい?」

「うん、ママはレストランで食べるとお金かかるからって、いつもおうちで食べるよ。パパもラブ&ベリーはたまに1回だけしかやらせてくれないし(※1)。おじいちゃんと違ってビンボーなのかな。」

「そんなことないと思うけど。ルミちゃん、おじいちゃんはね、今まで定年まで一つの会社で頑張って一生懸命働いたから、国の年金や会社の年金がいっぱい貰えるんだ。だからルミちゃんたちにいろいろ買ってあげられるんだよ。」

「あっ、ネンキンって知ってる。ママが言ってた。働かないのにおカネもらえるやつでしょ。」

「いや、だから今までたくさん働いたんだよ。」

「ふーん、じゃあパパもいっぱいネンキンもらえるのかな。この間まで、ルミやジローが寝る時間でも帰ってこないくらいたくさん働いてたよ。いまは新しいおシゴトさがしで早く帰ってくるけど…。あっ、そうだ。パパは新しいおシゴト見つかったらカイシャのネンキンが二つもらえるね。この前、同じクラスのタクヤくんが、おまえのパパは若いのにリストラかって言ってたけど、それってネンキンがいっぱいもらえるってことだね、きっと。パパ、おじいちゃんよりいっぱいネンキンもらっちゃうかもよ。」

「いや、おじいちゃんよりいっぱいは無いと思うけど…。(あいつは確か年金の受給資格がまだ無い時点で辞めたはずだし…)それより、弟のジローくんの風邪が治ったら今度は3人でお出かけしようね。」

「うん、ジローはマジシャインのゴールドグリップフォンがほしいって言ってたよ。おじいちゃん、ネンキンいっぱいあるんだったら買ってあげなよ。よろこぶよ。」

「えっ、まじめ社員のゴールドなんとか?よく分からんが、いいよ、おじいちゃんが買ってあげるよ(※2)。」

「あっ、ネンキンって言えば、おばあちゃんがこのあいだ誰か友達と電話で話してたよ。これからはリコンしたらおじいちゃんのネンキンが半分もらえるようになるから、それまで待つって(※3)。おばあちゃんもおじいちゃんのネンキンを楽しみにしてるんだね。ねえ、リコンってなに?」

「えっ、ほんと?…ほんとにそんな事、言ってた?」

「うーん……、忘れた。それよりおじいちゃん、新しく出来たコンビニの向かいに昔からあるパン屋さんがあるでしょ?やさしそうなおじいさんとおばあさんだけでやってるパン屋さん。ルミはパンが好きだし早起きが得意だから、大きくなったらあそこで働くんだ。あのパン屋さんからもカイシャのネンキンいっぱいもらえるかな?ねえ、パパがとしをとってもネンキンが少ないんだったらかわいそうだから、ルミとおじいちゃんでパパとママにいろいろ買ってあげようよ。だから、おじいちゃんも長生きしてね!」

(※1)ラブ&ベリー ……主にスーパーやショッピングセンターのおもちゃ売り場やアミューズメントコーナーに設置してある、女児に人気のテレビゲーム様のマシン。着せ替えカードを集めておしゃれ度を競う。休日は長蛇の列になることが多く、一人で何回もは出来ない。ルミのパパがたまに1回しかさせないのは、そういう理由から。

(※2)マジシャイン ……幼児向けヒーロー戦隊ものテレビ番組のキャラクター。2月頃にはまた新しいヒーロー戦隊ものに切り替わるので、このおじいちゃんはすぐにまたジローに新しいおもちゃをせがまれることになる。

(※3)2007年4月以降、離婚時の厚生年金の分割の仕組みが導入される予定。分割額は実際のケースによって異なる。

(注: 本日のコラムの内容はフィクションであり、執筆者の家庭を題材とした実話ではありません。)

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。