従業員がやる気になる報酬金額を求めて

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2007年12月06日

  • コンサルティング第二部 主任コンサルタント 柳澤 大貴
ボーナスや昇給の時期がやってくる。皆、期待感をもって支給明細の金額に視力が集中する。入社10年目のA君。今回は相当頑張ったし、評価に自信があった。ところが金額は思ったより低い。ランチタイムにそれとなく上司に聞いてみた。驚いたことに上司はA君が期待した以上の評価をしてくれたらしい。

前回のA君のボーナスを70万円としよう。A君は何とか100万円の大台に乗せたいと決めた。そして努力し、結果も出した。これで大台は間違いないと思ったのである。しかし、明細に印字された金額は90万円だった。腑に落ちず上司に尋ねたが評価は良かったのである。

さてA君が欲張りすぎるのか、それとも報酬制度がおかしいのであろうか。会社だって『頑張った従業員にはより多くの配分を』と考えて金額を決めているはずだ。このままだとA君がやる気を失うかもしれない。あるいは転職を考えるかもしれない。しかし、A君は実績を出した優秀な社員である。さてあなたの会社ならどうするだろうか。

ボーナスや昇給は企業全体の業績、部門の業績そして個人の評価など複数の要素からなる方程式により決まる場合が多い。これに対して従業員は自分が想像した金額や公表された組合員平均と比べた金額、あるいは学生時代の同級生との比較というような感情の部分で金額のイメージ作りをする場合が多い。

今回のケースでA君にもう10万円多く支給されていればA君はさらに頑張り大きな成果を出したかもしれない。A君がモチベーションダウンすれば10万円の罪は大きいということになる。従業員のモチベーションを最大化するためには企業の報酬ルールと従業員の心理的欲求金額が近似することが望ましいはずだ。

では従業員が心理的に欲求する金額を科学的に求めることができるのであろうか?

たとえばあなたの会社の主任クラスの営業職30人程度に簡単な質問からなるアンケートを実施する。そしてコストパフォーマンスを最適化した金額を求める。このようなアプローチで総額人件費は0.3%増えたがそれ以上の利益を出した企業も存在する。

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柳澤 大貴
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コンサルティング第二部

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