共通フレームによる情報システムの信頼性・安全性の向上

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2007年11月26日

  • 五井 孝
情報システムの役割は、事務の効率化から経営目標を実現するための重要な手段のひとつになってきている。また、システム障害が大きな社会問題になるなど、情報システムが重要な社会インフラにもなりつつあり、情報システムに求められる信頼性や安全性は、ますます高まっている。

このような中、情報システムの開発や取引に関わる共通フレームワークが約9年ぶりに改訂された。独立行政法人情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター編「共通フレーム2007」である。「共通フレーム2007」は、業務分析、業務設計、及びソフトウェアを中心としたシステムの企画、要件定義、開発、運用、保守を対象として、情報システムの開発や運用の担当者の作業だけではなく、経営者や発注者が行うべき作業についても可視化したソフトウェアライフサイクルプロセスの標準的な規範を定めたものである。

共通フレームの基本構成となるプロセスには、以下のものがある。

(1)主ライフサイクルプロセス
  (A)契約関連プロセス群
  取得、供給、契約の変更管理の各プロセス
  (B)システム開発関連のプロセス群
  企画、要件定義、開発、運用、保守の各プロセス
(2)支援ライフサイクルプロセス
  文書化、構成管理、品質保証、検証、妥当性確認、共同レビュー、監査、問題解決、ユーザビリティの各プロセス
(3)組織に関するライフサイクルプロセス
  管理、環境整備、改善、人的資源、資産管理、再利用プログラム管理、ドメイン技術の各プロセス
(4)システム監査プロセス
(5)修整プロセス

情報システムの開発や取引においては、発注者、受注者、経営者、利用者、外部委託先など、多くの利害関係者が関与している。情報システムの品質を高め、信頼性や安全性を確保するためには、「共通フレーム」などの共通の物差しを用いて、利害関係者それぞれが自分の役割と責任を理解し、相互に協力し合っていくことが今後、ますます重要となる。

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