液晶業界の製品・技術動向

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2007年10月30日

  • 杉下 亮太
10/24-26に横浜で開催されたFPDインターナショナル2007では、今年もフラットパネル関連メーカーが新製品・新技術を披露した。展示内容に垣間見えたのは、(1)薄型化のアピール、(2)タッチパネルの人気化、(3)有機EL(OLED)の離陸、(4)インフォメーションディスプレイへの期待、(5)PDPの退潮の5点である。

各社が展示していた薄型テレビパネルは、32-52インチで10-20mmの薄さであった。パネル薄型化の追求は動画ぼやけ・色改善がかなり改善したことで焦点が薄型化に移ったという面があるかもしれない。また、薄さでは液晶をしのぐOLEDへの対抗という面もあるだろう。12月に発売予定のソニーの11インチOLEDテレビは薄さ3mmである。

タッチパネルはアップルがiPhoneを発表して以来、注目が高まっている。携帯電話やPDAで文章を作成する際には、タッチパネルよりもキーパッドの方が使いやすいというのが個人的な感想だが、タッチパネルを採用すれば端末のデザインがすっきりするという面はあるため、携帯電話やPDAでタッチパネル機種のシェアは今後上昇することが予想される。小型ディスプレイだけでなく、ノートPCやインフォメーションディスプレイにタッチパネルを使用した例も展示されており、タッチパネルの採用が液晶業界での新たなトレンドとなりつつある様子が窺われた。

OLEDは06年に台湾メーカー数社が事業縮小ないし撤退した一方、07年に入ってからサムスンSDIとチーメイEL(CMEL)がアクティブマトリックス式(AM)OLEDの量産を開始し、加えてソニーが11インチのOLEDテレビを発売する予定となったことで、期待が再び高まってきたようだ。今年のFPDインターナショナルでは06年は出品していなかったエプソンが新たにAMOLEDパネルを展示したほか、サムスンSDIやCMELのAMOLEDパネル展示数も増えており、OLEDの本格的な離陸時期が到来したことを感じさせた。

インフォメーションディスプレイは、これまでも空港の発着情報表示用ディスプレイや地下鉄構内の広告表示ディスプレイなどとして使用が広がってきたが、液晶メーカーにとっては8G以降の工場を十分に活用するためにも一層の需要拡大が求められるアプリケーションである。複数のパネルを貼り合わせたものや、タッチパネルと組み合わせたものなど、液晶メーカーによる提案が増えている。

一方、PDPは退潮が否めない展示となっていた。サムスンSDIはPDPよりもAMOLEDに大きなスペースを割いて展示していた。技術的な成果のアピールも液晶に比べて限られていた。

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