地球温暖化について考える

RSS

2007年09月21日

  • 星野 和彦

今年の夏は、電車の中や街頭で、ノ-上着・ノ-ネクタイのサラリ-マンの姿が数多く見られた。二酸化炭素(CO2)排出量の削減対策の一環として、政府が推奨するク-ルビズが、一般に定着してきている。

先進国における温室効果ガス(※1)の排出削減目標などを定めた京都議定書が2005年に発効された。日本には、温室効果ガスの排出量を1990年の水準(CO2換算12億6,100万トン)に比べて、2008~2012年の平均で6%削減することが義務付けられている。この目標を達成するため、政府はチ-ム・マイナス6%をスロ-ガンに、温室効果ガスの9割を占めるCO2削減対策の啓蒙活動を行っている。

2005年度の温室効果ガス排出量は13億6,000万トン(1990年比7.8%増加)。この内、CO2は12億9,300 万トン(同13.0%増加)で、増加の主因になっている。排出部門別にみると、家庭(同36.7%増加)や商業・サ-ビス・事業所等(同44.6%増加)の増加が著しい。

温室効果ガスの排出を削減する世界的な取り組みは、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇していることが、地球温暖化の原因であるという仮説の基に始まった。仮説が正しければ、将来的に地球の温暖化が進み、熱波や干ばつ、洪水などの異常気象や、海面上昇による島国や都市の水没などにより、世界的に深刻な被害を受ける可能性があるからである。

大気中のCO2濃度が上昇していることや、地球の平均気温が上昇していることは事実であるが、仮説が正しいか否かは不明である。しかし、結論が出てからでは対策が遅れること、都市部ではエネルギ-消費の増大が気温上昇の一因になっていること、化石燃料には限りがあることなどから、CO2排出量の削減目標達成に向けて、個々の人々が省エネに取り組むことが望まれる。

(※1)温室効果ガス:太陽から地表に降り注がれるエネルギ-と、ほぼ同量のエネルギ-が地表から赤外線として宇宙に放出される。大気中の温室効果ガスは、この赤外線の一部を吸収するとともに、地表に向けて赤外線を放出することで地表を暖める。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。