お小遣い

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2007年08月08日

  • 吉野 貴晶
筆者の周りに聞いたところ亭主が『お小遣い制』を取らない家庭は少ない。なら経験があるだろう。毎月、給料日に幾らかのお金をもらう。通常はそれ程、意識しなくとも、何となくやり繰りできたはずだ。しかし飲み会が頻発すると次の給料日までに資金が底をついてしまう。そこでお小遣いの追加の交渉が始まるのだ。すると難航して喧嘩に発展したりもする。給料が増えれば、お小遣い増額の交渉の材料にもなる。しかし根拠がないと交渉決裂の可能性が高い。

筆者はこれまで、人々の身の周りの情報と株価の関係を調べてきた。そして人々の実感にあうこと程、景気や株価と関係が深い。株価の先行き予想にも繋がったりする。そこでお小遣いと株価の関係を調べた。

お小遣いの情報は総務省発表の家計調査で取得した。世帯主のお小遣いの1月間の支出金額が前年と比べてどの位増えたか?を見るため前年比をとった。同様に日経平均も前年比を取った。すると、これらの関係は強く連動する。お小遣いが前年比で上昇した時、同じ期間の日経平均の騰落率は平均して29.8%の上昇となった。逆に前年比が下落した時の日経平均は0.5%の下落だ。お小遣いが増えると株価が上がる関係が強く見られた。更に、お小遣いが前年比で増えた月のうち、日経平均もプラスになった割合を勝率と定義すると87.5%と高い。お小遣いが増えれば9割近く株価も上がるようだ。

更に面白いデータを紹介する。お小遣いが前年比で上がる、翌月の相場が上昇する。お小遣いが上昇した翌月の日経平均の騰落率は平均して2.19%の上昇となった。逆に前年比が下落した翌月の日経平均は0.25%の上昇に過ぎない。勝率で見ても。お小遣いの前年比が上昇した翌月は75%と高い確率で上昇する。

何故こんな関係があるか?幾つかの理由が考えられる。先ず、亭主のお小遣いは景気と関係が強いからだ。給料が増えないとお小遣いが増えないことは多くの人が経験しているだろう。そして給料は景気に連動するのだ。次に「お小遣いが増える⇒財布の紐が緩くなりお金を使う」という関係がある。つまりお小遣いと消費の拡大は関係が強いのだ。これらは「お小遣いの上昇⇒景気の拡大⇒株高」が連想される。

別の角度でもお小遣いと株価の関係は強いだろう。投資家の立場からの関係だ。「お小遣いが増える⇒金銭的な余裕がある⇒投資家はリスク資産で勝負しやすくなる」つまり、株式投資に積極的に臨み易くなることだ。更に行動ファイナンスの観点からも言える。お小遣いが増えると投資家の気持ちも前向きに成り易くなるだろう。

では皆さんはどうか?お小遣いが上がりそうか?そして相場に期待を持ちたいところだ。

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