ウィンドサーフィンが注目されると株価は上がる

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2007年05月31日

  • 吉野 貴晶
2年前の夏、突然思い立ってウィンドサーフィン(以下、ウィンド)を始めた。無趣味人間から脱しようという安易な理由が大きかった。ただ筆者は日頃からCSR(企業の社会的責任)の重要性を主張する。地球環境破壊を食い止めるには企業が環境問題に真剣に取り組む姿勢が必要というものだ。そして環境破壊を、より身近に感じるため『自然に親しみたい』という理由もあった。

ところでウィンドを知らない人は少ないだろう。サーフボードに帆を取り付けヨットと同じく風を受けて進む。ホイル・シュワイツアー(Hoyle Schweitzer)とジム・ドレイク(Jim Drake)により1967年に米カリフォルニアで生まれた。歴史は古くないが、1984年にはヨット競技の1分野としてオリンピックの正式種目になった。オリンピックの種目になるということは、それだけ多くの国で広く行われているエキサイティングなスポーツということだ。

意外にウィンドは身近だった。サーフィンと違い機材の組み立てやら、保管場所の確保も必要となる。しかし東京都区内でも、お台場海浜公園で気軽に楽しめる。値段も中古であれば、5万円もあれば十分に1セットが購入可能だ。安いとは言えないが一般の人に手が届く。そう思い、年がいもなく、若人(わこうど)に混じりスクールなるものに入り真面目に始めた。それ程、時間を取ることはできないが、物事を真剣に取り組むと、色々なものが見える。そして、これまでサザエさんの視聴率が下がると株価が上がる、梅雨時期は株価が下がる、など身近な情報の変化から株価を予測してきた。そしてウィンドからも新しい法則を見つけた。『ウィンドサーフィンが注目されると株価は上がり、サーフィンでは株価は下がる』というものだ。

分析結果を紹介する。雑誌などを検索して「ウィンドサーフィン」「サーフィン」というキーワードが取り上げられた記事数がひと月で何件あったか?を数えた。雑誌にとり挙げられる件数が多いということは、それだけ注目度合いが高いと考えるからだ。ちなみに、ウィンドもサーフィンも季節性があり夏がメインのスポーツだ。冬のウィンドは厳しい寒中水泳を伴う。ウィンド記事件数をサーフィンで割って、前年との比較を行った。これがウィンドレシオだ。過去5年間の分析から、ウィンドレシオが上昇した翌月の日経平均は65.4%と高い上昇となった。なぜ何故ウィンドが注目されると株価は上がるか?それは次の3つがある。

第1に、ウィンドの方がサーフィンより道具にコストがかかることだ。景気や個人の所得が高ければコストの高い道具を選びたくもなるだろう。第2に、ウィンドは組み立てなど、煩わしく思う問題がある。人々の気持ちに余裕がある方が注目されやすいだろう。余裕がある社会は資本市場の発展と関連する。第3に、ウィンドは運搬や保管場所の面も、サーフィンと比べると大変だ。ウィンドの方が、機材が大きい。これも第2の要因と通じるものだ。足元、4月末のレシオ(前年比)は119.5%と19.5%のプラスとなった。過去の結果から足元の相場には期待が持てそうだ。更に、少し長い目で見ても筆者はウィンドレシオの上昇⇒株高を期待する。それは今夏のウィンドの大ブレイクを予想するからだ。8月に故ウィンドサーファの飯島夏樹選手(役は大沢たかお)の生涯を描いた「Life天国で君に逢えたら」の映画が全国東宝系で公開される予定だ。こうした特殊要因ではあるが『ウィンドの人気⇒夏相場』を期待したい。

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