東京ディズニーランドと昭和記念公園と株価

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2007年02月23日

  • 吉野 貴晶
東京ディズニーランド(Tokyo Disneyland:TDL)と昭和記念公園と株価には深い関係がある。今回はこれらの関係を紹介する。TDLの入園者が増えると株価が上昇し、昭和記念公園の入園者が増えると株価が下がるという関係だ。

TDLは「夢と魔法の王国」がキャッチフレーズだ。TDL人気には、幾つかの要因があるが、その1つに非現実的な空間であることがある。例えば四季を感じさせない作りとなっている。いつも同じような花の景色が見られ、春を感じさせる桜の木が無い。

一方、これと対極な安らぎを感じるところの1つが昭和記念公園だ。非現実的とは違い、四季をふんだんに感じられる自然公園だ。昭和記念公園は花が美しいことで良く知られる。春はポピー、秋はコスモス、冬はサザンカが咲く。

TDLと共通する点と言えば、『水』とのふれあいだ。水鳥の池、プールや渓流広場の水遊びができる。そして分析に必要な観点で言えば入園者数のデータの公表が良く、簡単に取得できることだ。

そこでTDLの入園者数を昭和記念公園の入園者数で割って、TDL/昭和公園レシオを作った。その前年度の差と、翌年度の日経平均の騰落率の関係は強く相関係数は0.45(一般に相関係数のこの数値はかなり関係が強いと言われる)だった。TDLの入園者が増えると翌年度の日経平均の騰落率はプラスになる傾向が強いということだ。逆に、昭和記念公園の入園者が増えると翌年度の日経平均の騰落率はマイナスとなる。

何故こんな関係があるか?先ず、入園料の点があるだろう。TDLは、入園と当日に限り全てのアトラクションに使用できる1デーパスポートが、大人で5800円である。一方、昭和記念公園は大人で400円だ。お金がかかるTDL入場者が増えることは、精神的にも金銭的にも余裕が多い人が増えることを示す。次に、同じ水がキーワードの空間ではあるものの、TDLは非現実的な幻想空間である一方、昭和記念公園は自然に親しむ、癒しの空間だ。精神的に疲れていると、癒しが欲しくなる。筆者も疲れを癒したいとき、TDLのアトラクションには余り前向きにはなれず、自然に親しむ方を選びたくなる。TDLはむしろ生活の充実があるからこそ、休暇も前向きな気分で非現実を堪能したくなるのだろう。これが景気や株価と関係するのだと考える。

足元のTDL/昭和公園レシオの動きはどうか?実は直近のレシオは前年より悪い。しかしこれはその前の年レシオの上昇が良すぎた反動である。これを反映して昨年度の日経平均は46.2%高だった。今年度は足元にかけて株価は上昇してきたが、昨年度末の水準と比べて5%高(2月21日現在)と上昇力は鈍った。

今後も周りでTDLに行きたいと思う人が増えることを期待したい。

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