学校法人の金融資産関連指標

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2007年02月06日

  • 内藤 武史
学校法人の金融資産関連指標は以下の7指標に大別される。すなわち、金融資産構成比率に当たる「(1)(現預金+貸付金+有価証券)/総資産」、金融資産運用利回りに当たる「(2)受取利息・配当金等/(現預金+貸付金+有価証券)」、有利子負債依存度に当たる「(3)(長期借入金+短期借入金)/総資産」、有利子負債金利に当たる「(4)借入金等利息/(長期借入金+短期借入金)」、金融収支に当たる「(5)受取利息・配当金等-借入金等利息」、インタレスト・カバレッジ・レシオに当たる「(6){(学校事業収入-学校事業支出)+事業外収入}/借入金等利息」、営業キャッシュ・フローに当たる「(7)学校事業収入-学校事業支出+減価償却費」である。

これらに関して、大学法人、短大法人、高校法人、幼稚園法人、専修学校法人の5業態の平成16年度の状況をみていこう。

「(1)(現預金+貸付金+有価証券)/総資産」、「(3)(長期借入金+短期借入金)/総資産」といった金融資産・負債構成をみると、大学法人に優位性がみられる。高校法人、専修学校法人は相対的に有利子負債依存度が高い。

「(2)受取利息・配当金等/(現預金+貸付金+有価証券)」、「(4)借入金等利息/(長期借入金+短期借入金)」といった運用利回り・調達金利をみると、運用利回りは大学法人が優位だが、調達金利は専修学校法人が最も低くなっている。

「(5)受取利息・配当金等-借入金等利息」は大学法人、短大法人がプラスであるのに対して、高校法人、幼稚園法人、専修学校法人はマイナスとなっている。

「(6){(学校事業収入-学校事業支出)+事業外収入}/借入金等利息」は、高校法人を除く4業態はいずれも10倍を大きく上回っている。

「(7)学校事業収入-学校事業支出+減価償却費」をみると、業態別の規模の格差を反映して、大学法人が優位にあるものの、時系列データをみると、大学法人も含めて全般的に減少傾向が続いている。
(注)平成16年度で、単位は%。但し、(5)、(7)は百万円で1法人当たり。(6)は倍
(出所)日本私立学校振興・共済事業団「今日の私学財政」を基に大和総研資本市場調査部作成

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