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飲料水も取引対象に?

2006年12月11日

古井 芳美

今年11月にコスタリカに旅をする機会があった。大自然の中、車に揺られながらジャングルに向う際、あまりに整っているヤシの森に疑問を覚えた。手を加えられた森としか考えられず、疑問に思っていたところ、やはりその通りだと現地の人に教えてもらった。

コスタリカでは、PES(Payment for EnvironmentalServices)という仕組みを導入し、環境改善・維持を積極的に取り組んでいる。PESとは、「二酸化炭素」、「生物多様性」、「水質」、「風景の良さ」といった環境サービスを取引することを指している。この国では、土壌や水質の汚染状況、森林の木の本数などを毎年測定し、環境が改善・維持されていた場合、地主に対し報奨金を与える仕組みを整えている。PESによって得られる金額は、木々を伐採して売買することによって得られる収入よりも大きいため、環境が維持されているのである。

国内収入の大半を観光事業が占めているコスタリカの場合、森林を維持し自然の美しさを保全することは集客力の向上につながるため大きなメリットとなる。実際、PESを導入したことにより、GDPの増加が報告されている。

コスタリカに限らず、世界的に観ても、環境サービスを「売買する」ということは、今後増加するであろう。PESの4つの環境サービスの要素のうち、温室効果ガスである二酸化炭素の排出権は既に世界レベルで取引する市場がイギリスに存在する。以前から地球温暖化について各国間で話し合いが行われ、取決めがなされた結果、取引市場が整った。

排出権の次に注目されている環境サービスの取引対象として、飲料水を挙げているところもある。近年、工業・農業で使われる水量が多くなり、各国で水不足となっていることから水に関わる産業をテーマとしたETF(※1)も既にでてきている。

飲料水は、人間が生きていく上で必要不可欠なものであるため、取引条件のみならず、倫理的な問題においても解決しなくてはならないことが多い。それでも今後、水質汚染や水不足が原因で「きれいな水」を取引所で売買する機会が増えるのではなかろうか。

(※1)Exchange TradedFundの略称。日本語名は、株価指数連動型投資信託。特定の株価指数に連動し値動きする投資信託のこと。

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