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二極化する米国の個人消費

2006年11月29日

成瀬 順也

感謝祭が終わると、米国では翌日のブラック・フライデー(それまで赤字だった小売店も、この日で年間の業績が黒字化するほど賑わいを見せることの例えで、こう呼ばれる)から、クリスマス商戦が本格化する。

最大の注目ポイントは、高級品 vs低価格品だろう。現在の緩やかな消費減速は、高級品が好調を維持する中で、低価格品が急減速することで生じた。当初、高級品の好調は住宅価格の上昇が、低価格品の低迷はガソリン価格の上昇が、それぞれ大きな影響を与えた結果と見られていた。もし、高級品が好調なままで低価格品も復活すれば、米国経済は急回復することになる。一方、低価格品が低迷したままで高級品も失速すれば、米国経済はリセッション(景気後退)になりかねない。

住宅については、新築、中古ともに平均販売価格が8月、9月と2ヶ月連続で前年割れとなった。9月新築価格の前年同月比-9.7%は1970年以来最悪、中古価格の2ヶ月連続前年割れは1990年以来。最も恐れていた価格面での住宅バブル崩壊が始まった格好である。一方、8月7日に1ガロン3.04ドルだったガソリン小売価格(全米平均)も、11月6日には2.20ドルまで下落している。ガソリンが必需品の米消費者にとって、減税同様の効果が期待されるところである。

しかし、消費動向は全く変わっていない。低所得層を中心顧客とするディスカウントストアのウォルマートは、既存店売上高が8月の前年同月比2.7%増から1.3%増、0.5%増と大きく減速し、11月には遂に0.1%減と、10年以上ぶりの前年割れを記録した。ウォルマートのみならず、米国版100円ショップのダラー・ゼネラル、衣料品のギャップなど低価格チェーンの低迷が続く一方、ノードストロム、ニーマン・マーカス、サックスといった高級百貨店の好調さが際立っている。

となると、二極化は構造問題ではないだろうか。中所得層が日用品や普段使いのものに関しては徹底して価格に敏感な購買行動を採る一方、ちょっと頑張れば買える手の届く範囲の高級品には支出を惜しまないという構図である。NRF(全米小売業協会)のアンケート調査によれば、今年のクリスマス商戦にどこで買い物をするかという問い(複数回答可)に、70%の消費者がディスカウントストアと答えている。しかし、この比率は2年前には77%だった。一方、百貨店は53%から62%へと大きく上昇している。住宅低迷の悪影響は、レジャーボートや自動車のような1万ドルを超える超高額品に限れば、既に見られている。手の届く高級品好調、低価格品低迷の二極化トレンドは、今後も続くと考えられる。

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