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モスクワ滞在随想記

2006年11月28日

瀬越 雄二

(1) モスクワ国際空港と送迎リムジン
10月23日、16時40分、シェレメーチェボ国際空港に到着。ロシアは25年ぶりだ。貧欲に何でも観察しようと妙に心が弾む。天気は曇り。気温10度でやや肌寒い。この空港は1980年の開港と言われているが、それにしては老朽化が進んでいる。パスポート・コントロールの前には、前進を阻む「列とは呼べない人の塊」。表示は全てロシア語のため、方向性さえ見失った。ロシア語堪能な同僚女性はなんとか旅行代理店カウンターを見つけ一行を誘導。2台の迎車でホテルに向かう。約10時間のフライト。いつものようにタバコが無性に恋しくなった。もはや限界に近い。迎車の中で、運転手にタバコを吸って良いか英語で尋ねた。全く無視された。再度尋ねた。返答なし。海外の旅行者が乗る車の運転手だから、当然、ある程度の英語は話すだろうと勝手読みをした自分に気づく。迂闊だった。諦めきれず、運転手の肩を叩き、タバコを見せて確認を試みた。そうすると、快く「吸って良いよ」と目で合図してくれたので、立て続けに3本吸った。翌日から、運転手はもうひとりと交代していた。翌朝、この新しい運転手に喫煙の可否を確認すると、意味は不明だがロシア語でひどく強い口調で拒否された。モスクワでは、タクシー又はハイヤー内での喫煙はいけないか?

(2) ホテルに向かうリムジン車窓から
空港からホテルに向かう幹線道路は交通渋滞もなく、平均速度90キロ程度でスムーズに走った。道路の舗装状態は良いとは言えないが、それほど悪くもない。沿道を見ると、幾つか建設が中止され放置された鉄骨剥き出しのビルや躯体工事を終えて放置された建物が散見される。また、支線道路の建設が中断され再開されないまま放置された現場が幾つか目に入った。行き交う乗用車、バス、トロリーバス、軽トラックなど、ほとんどが埃まみれ。そろそろ雪のシーズンなので、スパイクタイヤを装着しているためか、あるいは、モスクワの気候風土の影響か。それとも、モスクワ市民は車の掃除をしないのか。市の中心部に入ると、さすがに、手入れは悪いが歴史の重みを感じさせる重厚な建物が連なる。外壁工事のためのフレームが組まれた建物が多く見られる。作業を終えたのであろう。上層階の現場から無造作にロープで資材が降ろされている。よく見ると、人が数人でロープの端を必死で支えている。他に方法はないのか。モスクワでは、工事現場の下は歩かない方が賢明であろう。

(3) クレムリンと赤の広場
10月25日、昼食後、クレムリンと赤の広場を散策した。過去何度となくテレビで赤の広場を通過する軍事パレードを見た記憶が蘇る。しかし、実際は厳ついイメージは全く感じられないメルヘンチックなスポットである。建造物は美しいが緑が少ない。クレムリンの前にデパートがある。「グム」デパートという。デパートの中の喫茶室で、アフタヌーンティー。ロシア語堪能な同僚女性にロシアンティーをお願いする。同氏がウエイターにロシア語でロシアンティーを注文すると、怪訝な顔をされ、「ロシアでは紅茶葉は取れません。ほとんどインド産です」。しかたなく、同氏は素直に紅茶とジャムを注文してくれた。私はジャムを紅茶に入れ、かき混ぜ、味わった。ロシア語堪能な同僚女性曰く、「ロシアンティーが通じなかったのは残念ですが、ジャムを紅茶に入れるのはあまり上品とは言えません。ジャムは合間になめるものです」。モスクワでロシアンティーを注文するのは、ウィーンでウィンナーコーヒーを注文するようなものか。

(4) 住宅事情と交通渋滞
10月25日、夕食のため車2台で予約したレストランに向かう。途中、猛烈な渋滞に遭遇する。両方の路肩に路上駐車が列を成し、しかも路上駐車の車列は2重になっているため、全く身動きができない。現在、モスクワでは市民の3人に1人が自動車を所有しており、ほぼ東京都と同じという。ロシアでは自動車を購入する際に車庫証明は必要ないようだ。どう見ても、当地の人々はアパート周辺での路上駐車を好んでいる。恐らく、真冬積雪があると、交通事情は更に悪化するだろう。モスクワ市内にあるアパートは概して古く、皆、コの字型をした瀟洒なつくりをし、真ん中には中庭がある。日本人であれば躊躇もなく中庭を駐車場にするだろう。モスクワ市民はそうはしない。路上駐車である。交通渋滞は頂けないが、中庭のある住宅構造は美しくゆとりを感じさせる。何とかこの美しい遺産を維持して交通渋滞が解消されることを期待したい。

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