国立大学法人の現預金・有価証券保有残高

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2006年11月24日

  • 内藤 武史
平成17年度(平成18年3月末)の国立大学法人の現預金・有価証券保有残高は630,186百万円で、うち、現預金が560,639百万円(78,188百万円の増加)、有価証券が69,547百万円(27,619百万円の増加)で、現預金:有価証券は89:11となった。16年度が92:8だったので、有価証券の構成比率が3%ポイント上昇したことになる。ちなみに、当社資本市場調査部によると、私立大学法人(大学を設置している学校法人)の現預金:有価証券は45:55と推計されるので、当然ながら格差はまだ大きい。なお、有価証券のうち、投資有価証券(償還期限が1年超)は54,248百万円、有価証券(償還期限が1年以内)は15,256百万円となっている。

国立大学法人別にみると、東大65,641百万円、京大35,190百万円、東北大33,099百万円、九大31,966百万円、阪大28,586百万円、名古屋大25,376百万円、北大19,524百万円と旧7帝大が上位を独占し、筑波大、熊本大、広島大、徳島大、東京医科歯科大、神戸大、東工大と10,000百万円以上が続く。

次に、有価証券の保有比率をみると、名古屋大が31.5%で最も高く、次いで東京芸大29.4%、長岡技術科学大28.9%、東大26.0%と続く。91法人のうち20%超が9法人、10%以上~20%未満が15法人、0%超~10%未満が28法人であるのに対して、0%が39法人と全体の43%弱を占めている。但し、16年度は0%が59法人だったので、17年度に新たに有価証券を保有することになった国立大学法人は20法人に達している。中でも、長岡技術科学大28.9%、神戸大22.2%、北見工大20.2%、広島大15.8%、高知大13.9%、島根大13.6%などが16年度の0%から17年度は一気に上位にランクインしているのが目立つ。

保有有価証券の絶対額では、東大の17,073百万円が突出し、次いで名古屋大8,006百万円、阪大6,975百万円、京大5,345百万円、徳島大3,010百万円、九大2,890百万円、神戸大2,517百万円、北大2,495百万円と徳島大、神戸大を除いて旧帝大が上位を占めている。

また、保有有価証券の内訳をみると、国債が58,718百万円(全体の84.4%)、政府保証債が3,317百万円(同4.8%)、地方債が7,083百万円(同10.2%)となっている。国立大学法人の余裕金の運用については、国立大学法人法第35条において、独立行政法人通則法第47条を準用することが規定されているが、現状では、運用対象が実質的に国債、地方債、政府保証債に限定されているためであろう。

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