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地銀再編は「共倒れリスク」から「置いて行かれるリスク」へ

2006年10月18日

地方銀行の再編が進んできている。特に、九州地方では、福岡銀行と西日本シティ銀行の2強が県境をまたいで拡大路線を走りつつあり、注目を集めている。

筆者自身、地方銀行の経営を8年ほど見てきて、この1年ぐらいで潮目が変わったと感じている。今までは、不良債権問題もあり、他の地銀と経営統合などを行うのは「共倒れリスク」が大きかった。事実、問題ある金融機関を抱え込んでしまったが故に、自分たちが危うくなってしまった例も多々ある。

それがここへ来て不良債権問題も、上位地銀ではほぼ解消し、体力の弱った地銀でも一掃とはいかないものの、悪化傾向に一定の歯止めがかかったところが多くなってきた。そうなってくると、本来、銀行業は「規模」が重要である。地銀にとって再編問題のポイントは「他行に置いて行かれるリスク」へと転換しつつある。

しかし、いまだに再編についてネガティブなイメージを引きずったままの関係者も多いように筆者は感じる。また、そうでないにしても、今のままで十分と考える向きもかなりあると思われる。地方銀行は第二地銀も含めると100行強あるが、再編シナリオを具体的にシミュレーションしてみることすらしていないところが半数以上と思われ、経営トップの頭の中でのみ、漠然とイメージされていることが多いであろう。

地銀の再編に関して最後に以下の3点を指摘しておきたい。(1)再編相手の現実的な選択肢は実は限られている。(多くの場合、同じ地域の数先であろう。その中には、有力地銀の傘下に入られると看過できなくなる近隣の地銀も存在するかもしれない。)(2)再編は1度目の場合は大変苦労するが、2度目、3度目は学習効果で、心理的にもノウハウ的にも迅速に対応することができるようになる。(つまり、再編を一度経験したことがある地銀は、一度も経験したことのない地銀より、対応力の面で圧倒的に優位に立てる。)(3)その結果、拡大する地銀はどんどん勢力を拡大し、一歩目が出ない地銀は取り残される。(最初に出遅れた地銀は、有力な選択肢がどんどん少なくなり、自前での拡大では限界があるため、挽回不可能な差をつけられる。その差が今後数十年を決定づける可能性が高い。)

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