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株式市場と債券市場における景気観は異なっているか?

2006年10月10日

奥原 健夫

米国の株式市場ではダウ工業30種平均株価が高値を更新し、米国景気が緩やかな減速にとどまるとの見方が強まっている。一方、米国債券市場は6月以降大幅な利回り低下となっており、来年は景気後退となり、大幅な利下げが行われるとの見方がある。このことは株式市場と債券市場が異なる景気の先行きを示唆していることになり、いずれ両市場、またはどちらかの市場に調整が訪れる可能性があることになる。

ここで債券市場は本当に景気後退とみているのだろうか。まず名目金利は実質金利と期待インフレ率の和と解釈できる。債券市場では名目金利が10年債利回り、実質金利が10年物価連動国債であり、その差が期待インフレ率ということになる。さらに実質金利は(実質)期待成長率とみることができる。

6月から現在までの債券市場動向をみると、10年債利回りが低下しているが、一方で10年物価連動国債の利回りの低下は相対的にゆるやかな状況となっている。これを上記の式に当てはめると、期待インフレ率と実質金利(期待成長率)はともに低下しているが、期待インフレ率の低下幅の方が大きいことになる。さらにわかりやすく言えば、物価は大幅に低下するが、景気の鈍化は相対的には小さいこと示唆していることになる。以上のことから今年はインフレを沈静化させるために中立な水準以上に政策金利の利上げが行われたが、今年度下期から来年度にかけては政策金利を中立な水準に戻す動きが起こることを市場が先取りしていると見ることが出来よう。従って債券市場と株式市場は全く異なる景気観となっているとは必ずしも言えないが、一方で物価の景気に与える影響の解釈が異なっている可能性があろう。

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