2006年09月13日
06年4~6月期の東証1部3月本決算銘柄(除く金融および上場子会社)は経常利益が前年同期比15.1%と高い伸びを示した。機械、電機、輸送用機器、精密といった加工型産業や、鉱業、ガラス・土石、非鉄、卸売などの大幅増益が目立った。事前予想が非常に慎重であったため、総じて言えば、「想定以上に好決算」であった。
ところが、06年度上期や通期の予想はあまり上方修正が進んでいない。このため、「上半期の予想経常利益」から「4~6月期の実績経常利益」を差し引いた「7~9月期の予想経常利益」を計算してみると、東洋経済予想で前年同期比-4.8%の減益になる。業種別にみると、ほとんどの業種で7~9月期に収益モメンタムが大幅に落ち込み、12業種が10%以上の大幅減益になる。ところが、7~9月期の経済・為替環境などからすると、これらはあまりにも保守的で、非現実的な予想数値と考えられる。
こうした一因は、会社サイドやアナリストが通期と半期予想に注力し、半期を基本単位に業績予想が行われ、四半期ごとの機動的な予想変更などが行われていないことが影響している。そのため、例えば、これまでの収益モメンタムが良好で4~6月期実績も大幅増益ながら7~9月期が大幅減益予想になっている銘柄は、今後に上方修正余地を多分に残していると考えられる。こうした傾向は、株式投資の観点から言えば、収益獲得機会が存在しているとも言えよう。
仮に06年7~9月期の経常増益率が前年同期比10%であれば、06年度上期の経常増益率は東洋経済予想で4.4%から12.4%に上方修正され、06年度通期では4.4%から8.1%増益になる。このようにみると、10月下旬から中間決算発表が本格化するが、業績上方修正の余地は大きそうだ。なお、上期が想定以上に上ぶれて着地するにしても会社の保守的スタンスから下期予想の上方修正は限定的で、結果、昨年同様に、10~12月期や来年1~3月期の上方修正余地を来年2月、5月の四半期決算発表時に残す形になろう。基本的に期を追うごとに業績上方修正が進み、それに併せて株価の地合いも底堅さを増すと予想される。
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