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投資信託 「何を買う」から「どこで買う」へ

2006年07月31日

木下 一

今月発売のあるマネー雑誌の表紙に「人気の投資信託 どこで買うのが一番お得!?」という見出しが躍っていた。一昔前では考えられなかった変化である。1990年代まで、投資信託といえば、取引先証券会社の営業員が同社で取り扱う特定の投資信託を勧めるか、取り扱い投資信託群の中から何かを選ぶという姿が一般的であった。今は、お目当ての投資信託をどこで買うかを選択する時代だというのである。この変化は次の三つの要因に拠るところが大きい。

第一は当然のことながら、購入経路が多様化した点にある。1998年の窓販開始以来8年弱で、銀行が販売する株式投資信託の純資産残高は証券会社のそれを上回った。0.4%程度とシェアはまだ小さいが、昨年10月から投資信託の販売を開始した郵便局は、近い将来、販路のもうひとつの柱になることは間違いない。

第二は、投資信託購入者のコスト意識の高まりである。同じ投資信託であれば信託報酬はどこで購入しても一緒だが、販売手数料は取り扱う販売会社によりかなり異なる。店頭で購入すると3%かかる手数料が別の会社のインターネット取引を利用すると無手数料になるという例もある。市中銀行の一年もの定期預金金利が0.25%程度である現状を前提にすれば、3%の差は実に12年分の金利に相当する。この事実に投資家は気がつき始めているのである。

第三は、そして最も大きな要因は、投資家サイドの情報入手の手段、経路、選択肢が格段に多様化した点にある。その広がりはインターネットの普及と呼応する。運用会社自身や当社のような評価機関のホームページ情報に加え、ネットの掲示板などが情報提供に大きな役割を果たしている。「A社の運用するBという投資信託をどこで買ったらよいか」とひとつ質問すれば、実に多くの回答が寄せられる。回答の真偽や正確性を見極める目は必要だが、この世界に生きる小職のような人間が見ても、正確な意見は意外に多い。この口コミ情報は馬鹿に出来ない。

今はまだ一部の動きかもしれない。しかし、投資信託も世界一厳しい眼を持つ消費者「日本人」に選別される時代に突入したことだけは間違いなさそうである。

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