エネルギー効率が着目されるデータセンター
2006年06月28日
これまでハードウェアベンダーは、自社製品が「安価で高速に処理する能力がある」ことを売り文句としてきたが、昨今では、「少ない電力で大量の処理が可能である」というエネルギー効率の向上をセールスポイントとすることが増えている。その一環として、今年4月、エネルギーの利用効率を高めるために必要な意見・情報交換の場として、AMD、HP、Sun Microsystems、IBMの4社が非営利組織“Green Grid”を結成した。GreenGridでは、ITマネージャーに対し、データセンター設計および建設のベストプラクティスについてディスカッションおよび情報提供を行っている。このプロジェクトには、その後、データセンター機器やソフトウェアを提供するRackableSystem、Egenera、APC、Dell、VMwareの各社も参加しており、今後、参加する企業が増えるとみられている。
これらの組織にベンダーが積極的に参加する理由として、以下が挙げられる。まず、ユーザの環境問題に対する関心が高まっており、省電力を推進しているGreenGridに参加することは企業のブランドイメージ向上につながること。次に、電力コストの増加。それに加え、データセンターの冷却の問題が大きくクローズアップされてきていることも一因である。これは、ブレードサーバの導入が多くなり、ひとつのラックに大量のサーバが配置され、単位面積あたりの電力消費量が上昇していることによる。適切な冷却を行うためには、データセンターの構築方法そのものを見直す必要性もあり、エネルギー効率の向上は大規模な投資を防ぐためにも非常に重要になってきている。
ブレードサーバなど新しい機器の導入が急速に進むにつれ、既存の設備がニーズに合わなくなり、データセンターの再構築を必要とするケースも今後増えるであろう。この際に、ITインフラの省電力化を検討することは必須であり、各企業はエネルギー効率向上に真剣に取り組みはじめている。日本でも、ブレードサーバの増加や地球環境への配慮、冷却問題の対処などで、米国企業と同様の対応を迫られる状況も考えられる。
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