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公益法人制度改革関連法案は成立したが、今後に課題も

2006年06月19日

経済調査部 主任研究員 市川 拓也

公益法人制度改革に関する3法(一般社団・財団法人法、公益法人認定法、整備法)案が可決・成立した。この3法は、従来の民法第34条の公益法人と中間法人法の中間法人をまとめ、新たな枠組みとして括り直す役割を担うものであり、具体的には、営利目的以外で登記による法人格の取得を可能にすることや、公益法人としての認定に公益認定等委員会がかかわるしくみなどが盛り込まれている。公益法人の設立は従来、主務官庁の許可が必要であったため、民間非営利団体の法人格取得は容易ではなかったが、新法の施行によってこれらの改善が期待される。公益法人にかかる法律という点では、明治29年の民法制定以来110年ぶりの大改革であり、成熟社会を迎えた日本における健全な公益活動の推進に資するものとして位置付けられよう。

今回の新法成立にあたっては、非営利・公益セクターにおける活動推進への期待が根底にあったとみることができるが、一方で“行革”の側面を併せ持っていたことも忘れてはならない。目玉ともいえる準則主義による法人格取得と公益認定等委員会の設置によって、民間非営利団体の法人格取得が促がされるとともに公益法人の認定が公正に行われることが期待される一方、法人の設立と公益にかかる判断を同時に行う主務官庁依存の制度が見直されることで、いわゆる天下りなどの行政癒着に絡んだ諸問題が解決に向かうことも期待されているのである。上記新法への議論をリードしてきたのが内閣官房行政改革推進事務局であったことや、法案審議を行った衆・参の委員会もそれぞれ“行政改革に関する特別委員会”であったことも、“行革”の側面を象徴する部分として捉えられる。

今回、法案が可決・成立したことで、施行後の移行期間5年を経て新たな枠組みへ移行することになる。非営利・公益セクターにとっては確かに画期的ではあるが、自動的に同セクターが十分活躍できる社会が到来すると考えることは、筆者には楽観的過ぎるように思えてならない。これまで行革が大きな推進力となってきたことを問題視するものでないことは予め言っておかねばならないが、今後この行革に代わる推進力をどう得ていくのかが大きな課題となると考えられるためである。本来こうした推進力は国民の強い支持が担うものであると思われるが、そうであれば非営利・公益セクターが自らの力で早急により多くの支持を集める必要がある。目先、税制部分がクローズアップされることになろうが、第一歩として同セクターがどのような対応をとるのか注目されよう。

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経済調査部
主任研究員 市川 拓也