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輸出セクターの比重が大きい韓国、台湾市場は第3四半期に要注意

2006年05月16日

由井濱 宏一

5月10日の米FOMCでは予想通り、25bpのFFレート引き上げが実施された。声明文には、事前に市場で期待されていた「利上げ打ち止めあるいは一旦停止を示唆する表現」は盛り込まれなかった。結局、今後発表される経済統計次第で金融政策は柔軟に対応する、というのが結論で、市場の期待を裏切ることになった。ただ、声明文で注目したいのが、今後の景気見通しについて住宅市場の減速やこれまでの利上げ累積効果などにより、持続可能な成長率にまで落ち着いてくることを比較的明確に示した点である。米国の06年第1四半期の実質GDP成長率は前期比年率で+4.8%(暫定値)となったが、今後徐々に成長率は鈍化し、第3四半期には2%台の成長率にまで落ち込む可能性がある。

実際、過去の利上げが終了となった月を含む四半期の翌四半期に米国のGDP成長率は鈍化するケースが見られる(89年1Q前期比年率+5.5%→89年2Q同+2.2%、95年1Q同+1.5%→95年2Q同+0.8%、00年2Q 同+4.8%→00年3Q同+0.6%)。利上げが住宅市場を冷やし、それが消費動向の減退につながったことが要因のひとつである。今回は利上げ期間における長期金利の上昇ピッチが緩やかであることや日本の内需の回復、中国経済の高成長といった要因で減速の程度は小さいだろうが、アジアの輸出依存型の市場(韓国、台湾など)の第3四半期の景気動向には注意が必要だろう。

韓国や台湾の輸出の伸びは米国の小売売上高の伸びとの連動性が高い。過去に見られたように今後米国の住宅市場の低迷が時間をおいて小売売上高の伸びの低下→韓国、台湾を始めとするアジア各国からの輸出低下といった流れにつながりかねない。特に第2四半期中に高値をつける段階で輸出関連セクターは利食い売りを先行させるべきだろう。一方、内需の絶好調が継続している香港やシンガポール市場については、調整幅も限定的となるのではないか。

その意味では、韓国や台湾などの輸出セクターのシェアが相対的に大きい市場は、米国の利上げ打ち止め観測が強まらない方が、景気の強さを確認できることから逆にポジティブとなりうるだろう。

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