2006年05月02日
6月9日からサッカーのワールドカップが開催されるドイツでは、日本では信じ難い法律が存在している。「閉店法」という名前のその法律は1956年に制定され、小売店が閉店しているべき時間について定めている。現行法(※1)では平日(月曜~土曜)は20時から翌朝6時まで、日曜・祝日は終日が閉店時間と定められている。空港や主要駅の売店、ガソリンスタンドなど、例外規定により上記時間に営業している店舗はあるが、大半の商店は遅くとも20時には閉店となり、日曜日は営業していない。その時間帯に市民が楽しめるのはもっぱらウインドーショッピングとなる。むろん、24時間営業のコンビニというものは存在しない。
閉店法の目的は小売店で働く従業員の権利保護で、深夜勤務や超過勤務を強いられないようにすることである。また、小売店間で営業時間延長という競争が起きないように、それによって体力の劣る小規模店が不利にならないように、という配慮も含まれている。
とはいえ、「小売店のみ営業可能な時間を法律で一律に決められているのはおかしい」あるいは「消費者の生活パターンの変化に対応できない」といった点を理由に閉店法の改革を求める声は以前から存在している。休日や夜間も営業可能なキオスクやガソリンスタンドに対して、一般の小売店は不利な立場に置かれており、閉店法は憲法違反との訴えも起こされた。この訴えに対して、連邦憲法裁判所は04年6月に違憲ではないとの判決を下した。ただ、同時に、平日の閉店時間に関する決定権を国から州政府へ移行するように勧告(※2)。これを受けてドイツ政府は必要な法律改正の準備を始め、今年7月の成立を目指している。これが実現すると、平日の小売店の閉店時間をどう定めるか、もしくは法律では決めず各店の裁量に任せるかを各州政府が判断することになる。16州のうち10州程度が、他州と差別化をすることで競争力を高めようと閉店時間の規制撤廃を検討しているとされている。
ところで、ワールドカップ開催期間にドイツに行かれる方は20時以降も営業している店を見つけることが可能となりそうである。6月9日から7月9日までの期間限定で閉店法の規制が緩和され、試合の行われる都市とその周辺では平日は営業時間の制限はなく、日曜・祝日も14時から24時まで営業可能と決められた。後は各州が独自にこの範囲内で閉店時間を決定する。ノルトライン・ウェストファーレン州、バイエルン州などがこの制限枠いっぱいで営業時間を自由化すると表明している。この特別措置によってもくろみ通り売り上げが伸びれば、各州政府による営業時間の制限撤廃を加速することに貢献すると見込まれる。
(※1)最初の制定以降、部分的な改正が89年、96年、03年に行われており、月曜~土曜の閉店時間は段階的に短縮されてきた。
(※2)日曜・祝日の営業が原則として禁止されていることに対しては、休息のための日との位置付けで妥当との判断を下した。
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