中国が本格的な消費ブームを迎えるには
2006年04月12日
中国政府は「投資に過度に依存した成長から、消費を牽引役とした安定成長への転換」を望んでいるが、それがなかなか進まないのは、(1)所得格差が拡大し、それが固定化していること、(2)消費産業としての裾野が広い住宅が、一般の消費者にとって、高嶺の花となっていること(80㎡の住宅の全国平均価格は、家計年収の19年分)、(3)教育費や老後の心配などのために、消費者が収入を安心して消費に回すことができないこと、などのためである。
(1)について、都市と農村の所得格差の問題は言うまでもないが、消費をリードする都市住民の間でも所得格差は大きく広がっている。1999年~2004年における収入分布別の都市住民一人当たり可処分所得の年平均伸び率をみると、下位10%の収入は1.8%しか伸びなかった一方、上位10%は16.0%の伸びを記録した。収入の低い人達のキャッチアップがなかなか進まない一方、富める者は益々豊かになっていることが明確に表れている。
フローの所得格差が、資産形成に大きく影響することは、当然の成り行きである。一人当たり可処分所得から同消費支出を差し引いたものを便宜的に貯蓄可能額とみなすと、過去5年間の一人当たり貯蓄額可能額は、収入下位10%の375元に対して、上位10%は34975元であった。所得格差が1999年の4.6倍から2004年には8.9倍へと広がるなか、5年間の貯蓄額可能額は93倍もの広がりをみせたことになる。高額消費の代表例として、収入分布別の100世帯当たり自動車保有台数をみると、明らかな動意がみられるのは、所得の上位20%にほぼ限られているのが現状である。
今後、中国が本格的な消費ブームを迎えるには、企業年金や各種保険などの拡充と、「相続税」の早期導入が望まれる。フローの所得が累進課税となっているのに対して、ストックである資産にかかる「相続税」は、中国には存在しない。所得格差より資産格差が大きく広がっていることを考えれば、相続税導入と、それを原資とした社会保障制度の整備やワーカーのスキルアップ、教育支出の増加など所得の再分配が、消費の裾野拡大に重要な意義を持とう。相続税の導入が、胡錦濤・温家宝政権の「所得格差の縮小」に取り組む真剣度を測るバロメータといえるのかもしれない。
(1)について、都市と農村の所得格差の問題は言うまでもないが、消費をリードする都市住民の間でも所得格差は大きく広がっている。1999年~2004年における収入分布別の都市住民一人当たり可処分所得の年平均伸び率をみると、下位10%の収入は1.8%しか伸びなかった一方、上位10%は16.0%の伸びを記録した。収入の低い人達のキャッチアップがなかなか進まない一方、富める者は益々豊かになっていることが明確に表れている。
フローの所得格差が、資産形成に大きく影響することは、当然の成り行きである。一人当たり可処分所得から同消費支出を差し引いたものを便宜的に貯蓄可能額とみなすと、過去5年間の一人当たり貯蓄額可能額は、収入下位10%の375元に対して、上位10%は34975元であった。所得格差が1999年の4.6倍から2004年には8.9倍へと広がるなか、5年間の貯蓄額可能額は93倍もの広がりをみせたことになる。高額消費の代表例として、収入分布別の100世帯当たり自動車保有台数をみると、明らかな動意がみられるのは、所得の上位20%にほぼ限られているのが現状である。
今後、中国が本格的な消費ブームを迎えるには、企業年金や各種保険などの拡充と、「相続税」の早期導入が望まれる。フローの所得が累進課税となっているのに対して、ストックである資産にかかる「相続税」は、中国には存在しない。所得格差より資産格差が大きく広がっていることを考えれば、相続税導入と、それを原資とした社会保障制度の整備やワーカーのスキルアップ、教育支出の増加など所得の再分配が、消費の裾野拡大に重要な意義を持とう。相続税の導入が、胡錦濤・温家宝政権の「所得格差の縮小」に取り組む真剣度を測るバロメータといえるのかもしれない。
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- 執筆者紹介
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調査本部
主席研究員 齋藤 尚登
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