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拡大する私募投信への資金流入

2006年04月10日

壁谷 洋和

足 元の株式相場は、日経平均株価がおよそ5年7ヶ月ぶりに17,000円台を回復した。その背景としては、新年度入りに伴う株式需給の好転を挙げられるだろ う。具体的には銀行を中心とした国内金融機関による株式投資の積極化である。銀行は1990年代の終わり頃から一貫して持ち合い株式の処分を進めてきた が、売るべき株式の処分がほぼ一巡し、最近ではほとんど売りが見られなくなっている。皮肉にも、銀行が株式の比率を十分落とした後になって、相場は回復局 面を迎え、銀行は本来得られるはずの株価上昇の利益を逸してきたのが実情である。

ここ1~2年で銀行の株式投資は復活の兆しを見せているが、それは個別株式投資によるものではなく、ETF(※ 1)や私募投信(※2)を通じたものがメインとなっている。2003年度以 降、私募投信の設定が活発化する傾向にあるのは、銀行が株式関連資産の投資に前向きになり始めたことの表れと解釈できる。株式相場の高値更新と金利の先高 感台頭、さらには新BIS規制導入によるリスク許容度の増大が、銀行の株式投資(投信)の拡大を、今後さらに後押しすると考えられる。

私募株式投信の資金流入に関する季節性を見ると、前年度第4四半期から当該年度第1四半期にかけては、資金量が大きく伸びる傾向にあることがうかがえる。 銀行に株式資産の拡大余地がある以上は、新年度入りでさらなる投下資金の上積みも期待できるのではなかろうか。私募投信への資金流入額は今では四半期で2 兆円近くに及んでおり、市場へのインパクトを考える上で無視できないレベルにまで成長してきている。4月以降に銀行の投資額が増えれば、その分、株式需給 ひいては株式相場にポジティブである。

企業年金による運用リスク軽減や、公的年金による株式保有額の増大で、目立たなくなりつつあった国内法人の新年度資金の流入は、国内銀行の参加によって、 今後再び活発化することも予想される。公募投信の新規設定は3月の大量設定の反動から4月は減少が見込まれるが、その穴を私募投信に対する資金流入が埋め る形で、株式需給は今しばらく良好な状態が続く可能性がある。

私募の株式投信に対する四半期ごとの資金流入額

(出所)投資信託協会公表データより大和総研作成


(※1)Exchange Traded Fundsの略。その価格がTOPIXや日経平均などの主な株価指数に連動するように設計され、取引所に上場されている投資信託。

(※2) 公募投信が不特定多数の投資家を対象としているのに対し、私募投信は特定少数の投資家を対象とする。商品設計の自由度が高く、各種法的書類の手続きが簡素 化されていることから、コストや手間を軽減できる。

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